こんにちは、アクティングコーチ・演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、養成所や俳優学校を卒業してもなかなか実践に生かせない方を対象に、私の記事を役立ててもらえたらと考えています。
私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」
さて、私の記事で読まれている上位のものが「学校じゃ教えてくれない、台詞の覚え方5ステップ!」です。
きっと、台詞が覚えられなくて悩んでいる方が多いのかもしれません。
或いは、台詞を覚えるにあたって良い方法がないか探っているのかもしれません。
台詞を覚えるということは、記憶術の問題ではありません。
一夜漬けの受験勉強のように暗記することと、声に出して言えるようになることは違います。
結論からいうと、台詞をすぐに覚えるような魔法はありません。
サッカー選手がリフティングするように、練習のうえの慣れ、体で覚える慣れかもしれません。
つまり積み重ねですね。
詳細は、「学校じゃ教えてくれない、台詞の覚え方5ステップ!」を読んでいただければと思いますが、今回はさらに一歩踏み込んでみたいと思います。
台詞を覚える時にすべきこととやってはいけないことなど、台詞を覚えるためのポイントを3点まとめました。

台本をもらったら、台詞を覚える際にまず何をする?

脚本分析にも繋がってきますが、俳優が最初にすべきことは何だと思いますか?
台詞に対する偏見を持たないことです。
一読して感想を得て、その印象のままイメージして台詞の言い方を考える、なんて人が非常に多い。
それでは、リアリズムの演技は生まれません。
あなたが紋切り型の演技を求めているならそれでいいでしょう。
しかし、今そこに居て、初めて体験したかのように生きた演技を目指すのであれば、そのやり方は捨ててください。

えっと、台詞を書き出すとか・・・、チェックする。

正解は・・・
台本に書かれている「!」「?」「・・・」や、ト書きの感情が指定してあるような記述を棒線で消す。

ええ!いいんですか、それ!

驚きましたでしょうか?
以下、解説していきます。
台詞を覚えるためのポイント①

私たちは、イメージを持つことと物語の事実から想像することは別次元であることを知っておいて欲しいのです。
イメージは偏見(色眼鏡)に繋がります。
勝手な妄想ですね。
しかし、それは一読者としての体験としてとても重要です。
台本を一読して抱いた感想が、視聴者やお客様の感想に繋がったり、あなたがとても感動したのなら、モチベーションに繋がってきます。
ところが、物語を分析していくうえで、台詞を覚えるうえで、そのイメージに引きづられていては物語の真実に入っていけないのですから、視聴者やお客様でいる状態だった時のあなたの感想やイメージは置いていきましょう。
つまり、台本というのは読み手が分かりやすく物語を想像できるように書いているのです。
俳優であるあなたの手に渡る前に、企画され、プロデューサーが読み、お金を出す人に読んでもらい、お金を集めるのです。
読んで想像して、面白いと感じたものが動き出す。
読み手が想像しやすく、ひとつの方向性を示すために、わざわざ書かれてものという認識です。
俳優のためではありません。
そして、台本に書かれている「!」「?」「・・・」や、ト書きの感情が指定してあるような記述を棒線で消す意味は、台詞だけに注意を向けるためです。
「!」があると驚かないといけないのだと想像します。
「?」だと疑問形の言い方だ、とか。
「・・・」は沈黙だ、何か考えているのだ、と間を意図的に作ってしまいます。
ト書きに笑いながら、とか悲しんで、と書いてあったらそう演じないといけない、と思い込んでしまいます。
これらの色眼鏡は、俳優が事実から分析することや相手からの反応を無視してしまう要因になります。
実際に演技をしてみて、驚くか、疑問になるか、やってみないと分かりません。
実際に泣くのか、笑うのか、目的に向かって行動してみないと分かりません。
誤解ないように言いますが、演出の指示であるのであれば、そうなるように準備しますが、台本に書かれているままにすることではないのです。
台詞を覚える際に、「色でいうと白色で覚える」ということをお伝えしました。
つまり、抑揚をつけないで覚えるということですね。
もう、お分かりですね?
「!」「?」「・・・」に引きづられては、サラサラと言えるように覚えられないということですね。
こちらの記事「台詞に感情を乗せる?感情は込めるもの?台詞に自然な感情が出てくる方法」や「あなたの心の機微が自然に乗っていく、俳優の台詞の覚え方」も参考にしてみてください。
台詞を覚えるためのポイント②

台詞を覚える時に避けたいこととして、自分の台詞にマーカーをつける、です。
これも非常に多くの方がやってしまっています。
結論、自分の台詞にマーカーをつけないでください。
実は私も初舞台や2回目の舞台まではそんなことをしてしまっていました。
しかし、それが邪魔であることはすぐに気がつきました。
なぜか?
理由は2つあります。
- 相手の台詞を覚えられないから
- 台詞の順番がマーカーでチェックされた順に脳裏によぎるから
以下にそれぞれ解説していきます。
相手の台詞を覚えられないから
自分の台詞ばかりに記憶の注意が向かってしまい、相手の台詞が入ってこないからです。
うっすらでも相手の台詞をしっかり入れておく必要があるのです。
なぜなら、相手に関わって行動した結果、相手から返ってきた反応としての相手の台詞(言葉)である以上、またそのリアクションとしてあなたは台詞を返しているからです。
また台詞は相手のリアクション(反応)と考えられガチですが、これも少し訂正しておきましょう。
リアクションというとあなたは何もしないで相手から返ってきたものに反応しているだけと想像していまいますので。
役は目的に向かって相手に関わりながら行動しているのです。
つまりあなたの目的達成のために行動して出てきたもののひとつが台詞、ということ。
その行動に対して、返したきたものが相手の台詞なのです。
相手の台詞こそリアクションです、そしてまた目的達成のためにあなたは台詞という行動を起こすのです。
言ってしまえば、目的達成のために行動したから相手の反応が気になって、それにまた反応し返しているのです。
相手の台詞を取り除いて台詞を覚えることは対話をするうえであり得ないということ。
相手の台詞も同時に頭に入れておきましょう!
台詞の順番がマーカーでチェックされた順に脳裏によぎるから
こんな経験はありませんか?
たとえば教科書で重要なところを覚えようとした時に、1ページ全体のどの辺に〇〇が書いてあったと記憶され、そのページ全体の絵面が出てくることがあると思います。
台本も同じ状態が起こるのです。
せっかく「・・・」などを棒線で消して、サラサラと言えるように覚えたというのに、役の名前でマーカーされたがために、脳裏に記憶された台本のページには、まるであなたの台詞があるかのように記憶されるのです。
つまり、シーンでやり取りしても、勝手に「・・・」を待ってしまう状態が生まれてしまい、自然に生まれた「間」とならなくなってしまうのです。
あるは、何か別の台詞があったような気がして止まってしまうのです。
結局は邪魔でしかありません。
台詞を覚えるためのポイント③

台詞を覚えるには睡眠は必須!ということです。
あと、一夜漬けでとか、時間がないからと徹夜で覚えようとしてしまいますが、体で(声に出してという意味)覚えた台詞、脳内の台詞は、睡眠時に刻まれるのです。
つまり、睡眠あっての台詞覚えということですね。
忙しい時こそ、必ず覚えて休んでください。
そのサイクルがわかっていると、寝る前に台詞を覚えて、しっかり寝るという習慣が生まれます。
台詞をサラサラと言えるように覚えることと、脚本分析することは別のこと。

台詞を覚える内容を考えながら覚えてしまうと、そこに色んな言葉の重きが置かれてしまい、イメージの演技が入りこんでしまいます。
意味や重要度を意識して覚えてしまいがちです。
私たち人間が持つ偏見という色眼鏡、バイアスというのは本当に凄いのです。
ですので、台詞は台詞でサラサラと声に出して言えるように覚えるようにしたいところ。
脚本の分析や意味の理解はちょっと別作業、別として台詞を覚えることもするし、脚本分析もするという並行作業と思ってもらうと良いかと思います。
慣れてくると、意味や重要度は分かっていてもサラサラと覚えられるようになります。
それもまた俳優の演技トレーニングのひとつですね。
まとめ

一般の方は
どうして俳優は台詞を覚えれるの?
と思ったりしています。
スラスラと台詞を言えている結果だけを見ていますので当然ながら、その裏の苦労や準備を知らないからです。
サクッと覚えてサクッと仕事している、そんなふうに見えているのかもしれません。
そもそも視聴者やお客様から「台詞をいっぱい覚えて凄いね」と思われている時点で、あなたの演技やその作品は退屈でしたと表現しているようなもので、そこに視点がいかないレベルの演技や作品にしたいものです。
影の努力を見えるようにする必要はありませんが、俳優には影の努力があるのです。
それはどんな仕事でも同じですよね、きっと。
台詞を覚えるためのポイント3点からまとめていうと、
台詞を覚えるという行為は、いかに最初に色眼鏡を置いて覚えるかが重要だということ。
サラサラと言えるようになって初めて、目的に向かって行動したときに自然な音色が乗るのです。
それが生きた演技、今そこで起きた感情が乗った演技、つまりリアリズムの演技なのです。
嘘くさい、わざとらしい演技の特徴とは、今その場で起きた反応でないものが出ている時と言い換えれます。
そうならないために、俳優は台詞を覚える段階で多大な努力が必要なのですね。
サラサラと覚えたつもりでも、いざシーンに入ってみるとイメージしたような言い方が出てくる人がいます。
それはそれまでの抑揚で覚える方法が染み付いている習慣がそうさせています。
ですので、サラサラと覚えることも、日常から練習が必要なのです。
短い台詞を覚える練習をしてみたいり、詩を覚えてみたいりして、挑戦してみてください。
さぁ積み重ねて習慣にしていきましょう!

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台本をもらったら、台詞を覚える際にまず何をする?