命題:舞台演技と映像演技の違いはあるのか?
この質問はよく聞きますし、多くの人が疑問に思っていることだと思います。
そしてイメージしているのは、舞台は嘘っぽい、映像はリアル、といったことだったりします。また、舞台は大げさ、映像はリアルといった風に思っている方も多いかと思います。
それが大げさや嘘っぽいと感じたのであれば、それは俳優が演技や演技の捉え方や「演じ方」がそうだったという事に過ぎません。
結論からお伝えしますと、俳優の役へのアプローチに違いはありません。
映像演技と舞台演技の違いは何か!?違いがないとはどういうことか?
演技の違いといえば、演技のスケールが違うと言われています。スケールというのは、ボソボソ話しても聞こえないので、それを自然拡大していくといったニュアンスと言ったらいいでしょうか
ただ大きな声を出すのではない、それに伴った自然な感情からスケールを拡大していくイメージになります。
あなたが舞台を見に行って、演技に対して嘘っぽい、大げさだと感じることなく、「おお〜」と思ったのであればきっとそれは自然な感情からスケールが広がった演技だったのではないかと思われます。
映像演技と舞台演技の共通点は何があるのか?
私は、「違いはない」と言ったのは、本質的に違いはないという意味になります。つまり、俳優が「役を生きる」という意味において準備することはさして変わらないということことです。俳優が役を理解して、役を追求して役の準備して、役を体験しながら生きていくことに変わりはありません。目の前で起きたことを「本当」と感じ、「新鮮に」感じ、反応していくことに大きな違いはないからです。その対話こそしっかり起きていないと、妙な違和感や気持ち悪さが残ります。
ただし、舞台においては、アングラなどが流行った時代から、あえて違和感を出すといった演出があり、感じないようにして舞台にいる俳優や駒として存在する俳優がいたりします。それは舞台総合演出上における、俳優の使い方によるといっても過言ではありません。その場合は「役を生きる」ことが目的ではないことを演出が要求しているため、それに応えた結果だと言えます。
それでも舞台に立った人を俳優と言いますが、そこで行われている演技とは私のいう「演技」とはちょっと違ってきます。また舞踏や身体表現で魅せる演技という表現もありますが、これもまた一緒くたにできないものになります。
映像と舞台では演出にも大きな違いがあるが、信頼を作り俳優の役を引き出すことには変わりない
演出家から言わせてもらうと、演技に対するアプローチに違いはないため、役が求めているものや役の目的といったものが、俳優が準備したものがズレておりシーンが上手くいっていないのであれば、別の提案をしたりしながら調整していきます。それを認め合えることが非常に重要と私は考えており、俳優の演技を引き出す上での信頼関係を大切にしています。それは舞台も映像も関係なく同じだと思っています。
舞台は出演者の多くとスタッフと過ごす時間が長いため、お互いを認め合うとしっかりとした信頼関係の中で素晴らしい演技を引き出しやすいところがメリットかも知れません。映像でも、例えば同じ監督と俳優が何度もタッグを組んでいたりしていますよね、その信頼関係が作品のクオリティを上げる結果になっています。監督が俳優の好きにやらせるという意味ではなく「役について追求することをちゃんと話せる監督との関係」「そして、演技へのアプローチを相談できる関係」と言えるかも知れません。
日本のドラマはとにかく時間がありません。監督と俳優との接点がスターや大手事務所ならまだしも、役によって接点が少ない場合がほとんどです。その場合の信頼関係の作り方はなかなか困難です。その大切さを分かってはいても監督も実行に移す時間がないと言えます。そこは、お互いの開く力次第だったりしますが・・・。
素晴らしい映画やドラマ、舞台は監督やスタッフとの信頼関係が素晴らしいものが少なくありません。とても大切な要素でしょう。
映像作品と舞台作品は表現の大きな技術的な違いがある
演技の話ではないですが、このことも抑えておきたいところ。舞台というLIVE、カメラの前というLIVE、照明、音響、演出、空間の使い方は様々です。そこに使用できるものの違いがあります。
近年は、舞台でも映像が多く使用されプロジェクションマッピングも使用されたりと、かなり色々なことができるようになってきました。しかし、ベースは舞台の上。そこは至ってアナログです。
映像は何テイクも演技できますが、舞台は毎回1発勝負です。映像は、カメラが多くを語ってくれますのでカメラも第二の俳優(演技)とも言われています。

その力も大きいですが、舞台は切り取れないのが前提ですね。どっちが最高か、という問題ではなく、どっちも最高の表現の形です。
まとめ
時々、耳にすると歯痒い気持ちになるのは「あの人は舞台上がりの俳優だからね(大げさだ)」「あの人舞台出身だから(声がでかい)」と言った舞台出身の俳優を起用した監督やスタッフさんたちの声です。実際に現場で20代の頃から耳にしていました。役の本質を捉え、役を生きてる俳優の演技はカメラの前においても真実の姿を見せてくれるはずです。
声が大きいとか、大げさだ、などの状態の俳優は、そう教えられて育ったんだということでしかありません。それはつまり、役を生きる演技の勉強をしてこなかったということと、心と体を演技のために調律していくトレーニングを知らなかったということです。もし知っていたとしても、それを体現できていなかったということに他なりません。俳優トレーニングは簡単ではありませんが、そのトレーニングと役を生きるトレーニングを体現できればきっと監督やスタッフにそのように言われることはなかったかも知れません。そんな俳優を目指したいところですね。





















