こんにちは、アクティングコーチ・演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、久しぶりに俳優業を再開する方などに役立ててもらえたらと考えています。
私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」
さて、今回はシアターゲームのことについて。
シアターゲームをすると演技1が上手くなるのか?と時々聞かれますが、それにお答えしますと「Yes and No」ということになります。
以前のブログ記事(シアターゲームの18の効用!実は健康と美容にもいいって本当?)でお伝えしましたが、演劇や一般社会の中で使用する際には、ブレイクスルーの役割として多様されています。その中で言えば、まずは大いに楽しむことが大切です。
シアターゲームには演技に必要な要素はたっぷり詰まっていますが、それを発見し、その感覚を磨いていくこととして、それらの要素を認識していれば大いに力になるのは間違いありません。
「自分を目一杯使って生きる練習」とでも言えば分かりやすいと思います。
自分の感受性を鋭敏にしながら今一瞬一瞬を精一杯生きることの練習にシアターゲームはうってつけの部分があります。その中に前回お伝えした、シアターゲーム18の効用が含まれています。
しかしながら、それが演技上達につながるようにするには、以下のことを認識していく必要があります。役を生きる前に、まずは自分です。自分の感受性を開いた状態で今を生きる体験が必要なことを理解し、それを演技にしっかりと紐付けたことを認識した上でシアターゲームをやっていかなければ俳優としては意味が薄れてしまいます。
- 私が言う演技とは、「リアリティの伴った、今初めて体験したように生きる演技」のことを言っていますので、劇団によっては、笑いを求めてリアリティから遠く離れたり、演出上の都合で、俳優がリアリティのある演技を求められていなかったり、場合によっては話す人と動く人が違うという試みをした劇団固有の要素などが濃い演技は該当していない話になります。それらを全て一緒くたに演技と呼ばれています。 ↩︎

役を生きる練習にシアターゲームは役立つ

シアターゲームはそれ自体、難しくなく、ちょっとだけハードルがあり、集中すればするほど「今を楽しむこと」に繋がっていいきます。「今を一生懸命生きる」=「役を生きること」とリンクするからです。
決められた段取りに合わせてドキドキしているように見せるのではなく、決められた段取りに明確な理由を受けて(状況の正当化)本当にドキドキしている、ことを目指しているからです。
つまり、まずは自分がドキドキしながら今を生きることができなければ、役を理解したり、役と一緒にドキドキしたりできないと言えるでしょう。
「自分をどう見せたいか」=「見られたい自分を演じてしまう」です

皆さんは、下記項目に思い当たって、それを実際に行動に移していますか?
- カッコ悪く見せない
- 美しく見せたい
- 素敵と思われたい
- ダサいと思われたくない
- ダメな人と思われたくない
- 賢いと思われたい
- バカにされたくない
- 明る人と思わせたい
- 強いと思われたい
- 男らしい、女らしいと見てもらいたい
などなど。数え上げたら枚挙にいとまがありません。
「自分をどう見せたいか」からまずは離れよう

日常は客観的に物事を見る習慣が多いのではないでしょうか。思春期に始まり、社会に出ればなおさらです。
俳優を志す人は「自分を客観的に見ろ」とよく強調されたりする機会も多いでしょう。「自分がどう見えているのか」が大事な要素の一つではあるからです。ところが、思春期のそれと同じく「自分がどう見えているのか」が気になって気になってしょうがない私たちに、それをさらに強調さらたらどうなるでしょうか?
それは「自分をどう見せたいか」に繋がっていきます。するとどうなるでしょうか?
先に挙げた項目を気にしていては自分にばかり注意が向かってしまいます。それが悪いと言っているわけではなく、今その瞬間の対話を見逃してしまいますよ、ということです。
私たちは自意識が高い中で恥をかくことを避け、自分を隠す習慣の中で、「見せたい自分」をなんとか化の皮が剥がれないように生きてしまわないでしょうか。そんな自意識が高い状態では、相手の話もロクに聞けません。だって自分が気になるのですから。今その瞬間に溶け込めない、そんな状態になってしまいがちです。
※「自分がどう見えているのか」が大事な要素の一つに過ぎません。認識したら手放して世界に没頭する必要があります。
ちょっとだけ自意識を後ろに置いてこよう

シアターゲームは、自分のことに注意を向けることを避け、ゲームの内容や相手にフォーカスし続ける要素が大きいため、思いっきり飛び込むと「ちょっとだけ自意識を置いてくる」ことが起こります。その時こそ、ドキドキしており笑ったり悔しがったりして「今を生きている」時間となるのです。
例えば、Nintendo Switchやスマホゲームに夢中になっている時って、ドキドキして色んな感情が出てきませんか?特に家で親しい仲間と一緒にしている時など。
そう、それこそが「今を生きている瞬間」で、きっと客観的に立っていないと思うのです。俳優が役を生きてドキドキしている境地もそこを目指しているということなのです。
演技には色々な種類がある、例えば平田オリザさんの視界
劇作家で演出家の平田オリザさんのことを少し例題にあげておきます。平田氏はシアターゲームの18の効用を一般社会や企業にまで幅広く広げてくださっている方です。私はとても尊敬しており、平田氏の著書も面白く拝見してきました。その中でやはり演劇というと、表現(形・見せ物)としての視野で俳優を捉えている様子を窺い知ることができます。素晴らしい名優の演技すら「そう見せている」と思っている様子がうかがえます。
また、著書の随所に俳優が「役を生きている」というよりも「演じている。見せている」と考えていらっしゃいます。演劇というあくまで嘘の世界を、客観視して演技することを学ばせていると感じました。(誤解があれば申し訳ありません)つまり、演劇は虚構であり嘘の世界を俳優はそのように見せているという認識で指導をされていると考えられます。
演劇を嘘で虚構だと思っている世界の人にとっては、「演劇=役を演じる=演技=嘘」の認識であるということです。もちろん、それはそれで表現の形として問題ないし、面白い劇団や俳優たちはたくさんいます。

こちらは怒っているのを見せている女性の画像です。見せる演技・アピールの演技とも言えます。それはそれで、ある視点で全然良いですが、私が思う生きる生々しさにおいての名優やアカデミー賞を受賞する俳優レベルの俳優は育ちません、とだけ言っておきます。この辺の違いによって、俳優がどのような俳優になりたいかによって学び方は当然変わってきますし、師が変わってくるのです。
メソッド・アクティングの視界

確かに、演劇や物語は虚構でありある種の嘘です。しかし、その物語に生きてる人にとっては虚構ではなく本物の世界であるのです。だからこそ、その世界で今を生きることによってドキドキする世界を生み出します。それをお客様が見るのです。
それはつまり「リアリティの伴った、演技とは思えない演技」を目指していることを前提にしたものになりますが、メソッドアクティングの視界から見た世界は、「演劇=役を生きる=演技=真実」の認識で見る世界です。
以前お伝えした、映像演技と舞台演技がどう違うのか?のブログの中で、舞台・映像に関わらず俳優の準備においては同じです、と応えた所以がここにあります。
メソッド・アクターはどんな人がいますか?
少しだけ例に挙げておきます。ぜひ、彼らが出演している映画やドラマを見てもらえると分かると思います。
- マーロン・ブランドなど
- ジェームス・ディーン
- マリリン・モンロー
- ポール・ニューマン
- メリル・ストリープ
- ロバート・デ・ニーロ
- ヒース・レジャー
- ダスティン・ホフマン
- ヒラリー・スワンク
- ミシェル・ウィリアムズ
- エイドリアン・ブロディ
- ダニエル・デイ・ルイス
- ケイト・ウィンスレット
- ジャック・ニコルソン
- クリスチャン・ベール
- ルーニー・マーラ
- ミシェル・ウィリアムズ
- ヴァル・キルマー
などなどです。メソッドアクティングは、リー・ストラスバーグが生み出した演技方法論として伝わっていますが、それから日本ではゼン・ヒラノ氏によって、ミユキ・ヒラノ氏によっても変化していますし、学んだ人によっては様々なメソッドと合わせて使用しています。あくまでも、ベースとして使用することを私は推奨しております。
まとめ

俳優は、演技が上手くなるためにシアターゲームをするのではなく、ブレイクスルーや感受性を開くことや、今を生きる練習としてぜひ活用して欲しいものです。
また、一般の方にはぜひ、日常の自意識から離れ「今を生きる」ことを大いに楽しむひと時として欲しいものです。もちろん、その中には18の効用を含みながらです。
つまり、シアターゲームをどのように活かすかは、それを認識している人次第とも言えますね。
また、ことわっておきますが、俳優においては、役を生きるトレーニングが別途あり、また「今を生きるための心と体のトレーニング」がしっかりあります。世界の名だたる名優たちも、その例にもれず、トレーニングをしたり、役を掴むため演技トレーナーとセッションしたりしながら、挑戦し続けているのです。
さて、表題の件、お分かりいただけましたでしょうか。
シアターゲームは誰にも生きるものであり、俳優にとっては認識次第で大いに活用できるもの、と言えるでしょう。
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シアターゲームをすると演技が上手くなるんですか?
ある意味そうだし、ある意味違います。