こんにちは、演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、久しぶりに俳優業を再開する方などに役立ててもらえたらと考えています。
私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」
さて今回は、五感の記憶(センソリー)についてです。
五感の記憶(センソリー)がどういう意味なのか、またどんな意味があるのか、についてはこちらの「五感の記憶(センソリー)を演技に使うってどういうこと?」の記事をご参照ください。
五感の記憶(センソリー)は、頭で考えるのではなく、理性を外しながら、「肌で考える」こと。また想像の刺激から呼び起こすこと。
私たちの五感、視る、聴く、匂う、触覚、味覚は鋭敏にすればするほど優れた力を発揮してくれます。
しかしながら、社会性を持って生き始めた途端、あるいは同調圧力や団体からはみ出すことを良しとしない社会生活が始まった途端、どんどん鈍くなっていくものです。
それらを演技トレーニングによって取り戻し、さらに繊細な心と体に繋げていくことが、五感の記憶(センソリー)の重要なポイントであり、演技トレーニングなのです。
今回は、その重要性や想像の刺激から五感を使う方法とのリンクを各感覚からお伝えしたいと思います。
五感の記憶(センソリー)をモノにするために

五感の記憶(センソリー)をモノにするために、あたなにまずできること、それはメモを取ることです。
日常の感覚をメモしていくこと、あるいは五感のどこかに紐づいた記憶があれば、それを感じたことをメモしていくなど、蓄積していく努力が必要です。
また、五感の記憶(センソリー)をいつでも使用できるようにするためにも必要なストックです。
実際に五感を鋭敏にした状態で、あるものを想像すると、その想像の刺激によって感情が導かれ、大きなうねりとって動き出したりします。
またある時に物凄いセンセーションが起きて、感情が溢れ出すこともあるかもしれません。
リラクゼーションをした状態で、五感の記憶・センソリーワークをしてくと、
五感の記憶(センソリー)から感情が動き出すのか、想像から五感の記憶(センソリー)が刺激されて感情が動き出すのか、どちらかがあなたの心体に起こっていきます。
俳優は、役にとって必要なものを見つけて、それらがいつでも引き出せるよにしていくことが必要です。しかも、できるだけスムーズに、迅速に。
そして究極的に言えば、五感の記憶(センソリー)はトレーニング次第で自然発生的に湧き出てくるものになってきます。分からないと思ったり、やらない理由を考える前に、まずは日々メモを取ったりしながら、行動していきましょう。
五感の記憶(センソリー)、匂いで思い出すことはありますか?

多くの記憶の中でも、臭覚と紐づいたものはきっと多いのではないでしょうか。
大好きだった人の香水の香り、それを嗅ぐだけで一気に蘇るエピソードや顔など。
母親の匂い、人の家の独特の生活臭、甘い香り、すっぱい香り、それらが色々な感情やエピソードと紐づいていることに気が付けば、きっともうそれだけで俳優にとって大きな武器となります。
もしかしたら、実際に香りを嗅がなくとも、想像するだけで臭覚が動き出し、感情が紐づいてくることもあるかもしれません。
私たちは、レモンを輪切りにして絞った絵を想像するだけで、唾液が出てくるほど敏感なのですから。
五感の記憶(センソリー)、手触りで思い出すことはありますか?

私たちの触覚、肌の感覚で、たとえば満員電車を思い出してください。
都会でないと体験できない事柄ですが、密集した空間を想像してもらえると良いと思います。
毎日のこととなると、特別に嫌がったりしてもしょうがないことだと私たちは認識し、理性を働かせて「感じないように」していくようになります。それが慢性的になっていくと、実際には不快なことを「別に」と自分ですら分からないくらい本音を閉じ込めていくのです。
我々は、そういった感覚をしっかりと味わい尽くして「不快であること」を取り戻すことから始める必要があります。
満員電車で吐き気や眩暈など病気になってしまう方もいらっしゃいますが、もしかしたらその方の方が正常な感覚なのかもしれません。
知っておいて欲しいのは、人に触れられる、触れるといったこともまた大きな感覚ということ。
目を瞑って、嫌いな人から触れらる感覚を想像して体験できますか?
その時にブルっと寒気を感じたなら、あなたの想像から体験に繋がった証拠なのです。
熱い物を持つ、夏の暑さを体験する、冬の寒さを体験する、それらを奥底に眠らせた五感の記憶(センソリー)を起こすことによって感情が出てくることがあります。
俳優はそれらを必要なタイミングで自然に想像の刺激などから感じられていくことを目指して五感の記憶(センソリー)の演技トレーニングをしていくのです。
五感の記憶(センソリー)、視覚から思い出すことはありますか?

例えば、シーツのシワを視るだけで、ふと入院中の家族のことだったり、大事な人のことを思い出したりすることがあります。
あるエプロンを見るだけで、母親を思い出したりと、その料理している姿に紐づいたり、また料理後にお話する時のポーズに紐づいたりしています。
また実際にその物を観なくても、その物を想像することで蘇ってくる感覚をそのままシーンと融合させていくことも可能なのです。
五感の記憶(センソリー)、音楽や音から思い出すことはありますか?

とある俳優が、自分の役とぴったりな一曲を探し、シーンの前や準備に必ずそれを聴くといったことを習慣とする方法を語っていました。
役とリンクする曲があなたの心体とリンクするときっと大きな力になります。
音楽が特定の人と結びついたりすることもあります。
その人が大好きだった曲、アーティストなど。
また、音楽でなくとも音で、私たちは様々な記憶や感覚に紐づいていきます。
例えば、風鈴の音を聴くと、夏を感じたり、涼しい気持ちになったり。
救急車の音で、ドキッとしたり。
歯の隙間を「チッチッチッ・・・」と音を鳴らして歯を掃除する音の不快感や、特定の人との結びつき。
想像しただけで、嫌悪感などが動き出したりするものがあったりします。
また、笑い声を想像するだけで自分に笑顔が出てきたりと、不思議なことに、音も想像から感情に紐づいていくことが多いにあります。
五感の記憶(センソリー)、味覚から思い出すことはありますか?

生ビールが物凄く美味しかった、喉越しの五感の記憶(センソリー)が、いつでも引き出せれば、いつでも想像で美味しい生ビールが飲めるほど、我々の想像から味覚を刺激する力はすごいのです。
また汗を触覚で自然に感じ、夏の感覚を手に入れられればさらにその生ビールは最高になります。
もっと言えば、8時間労働から積み重なった身体の疲れを体験として持ち込めば、さらにさらにその生ビールは最高峰の一杯に変わるでしょう。
大好きな人の作ったクッキーなどのお菓子の記憶、初めてのジュースの味、ヤクルトの味やカルピスの味を思い出すと蘇る田舎の風景や子どもの頃の記憶。
人によって様々ですが、味覚からも感情や記憶と結びついていきます。
まとめ

五感の記憶(センソリー)で誤解されているのは、思い出すことで演技ができると思ってしまう人がいるところです。
大事なのは思い出しただけに留まらないこと。
五感の記憶(センソリー)から出てきた感情はそのままに、そこからシーンの中で今起きてることに注意の集中を向け、今という瞬間に繋がっていくこと。
そこが1番重要なポイントなのです。
つまり感じたらすぐに今という瞬間に繋がることでシーンの中で生かされるのです。
そのための演技トレーニングとして、感じた瞬間にすぐに感情を放出していくことがあります。
例えば、五感の記憶(センソリー)から紐づいて動き出したコーヒーカップが熱いという感覚をすぐ様、「はぁ〜〜」や「ああ〜」など声に発していくのです。
気をつけていただきたいのは、「感じました」で終わらないこと。
それを今、その瞬間に繋げて、過去の記憶の中にいるのではなく、今目の前の人や対象に繋がり対話していくことで生きていくということです。
そして、もうひとつ注意いただきたいのは、「感じること」と「考えること」を混同しないようにしてください。
「感じること」は自然発生的に動き出すこと、また理性を置いていくことに他なりません。
「考えること」をしてしまえば、途端に理性で感情にブレーキをかけたり、心と体は動きを止めてしまいます。
この違いが不明瞭な方が時々いらっしゃいますが、理性ばかりで生きてきた方には非常に捉えるのが困難と言えるでしょう。
理性が悪いわけではなく、そうしないと生きてこれなかったのですから大事なものです。
しかし、俳優はそれらを手放し、感じたままに放出していくこと必要となります。
ぜひ、挑戦してみていただけたらと思います。
また深い感情と繋がっていくこともありますので、自分の抑圧していた感情と紐付きそうな時は、どうか演技トレーナーや演技コーチとともにセッションしながら解放していくようにしてください。
私の方でも山縣ワークショップやクラスでは、しっかりと対応しています。






























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