こんにちは、アクティングコーチ・演技トレーナーの山縣です。
いつも「Acting Life net」のブログをご覧いただきありがとうございます。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、養成所や俳優学校を卒業してもなかなか実践に生かせない方を対象に、私の記事を役立ててもらえたらと考えています。
私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」
さて、今回は「台本読解(脚本分析)」について。
演技トレーニングをしてきた俳優も、どいうわけか台本読解・脚本分析ができていないことが多いと感じています。
せっかく響く心体を作り上げ、相手に関わることができても、台本読解・脚本分析ができていなければ、進むべきコースとは違うコースを歩み出しているような状態になりかねません。
ですので、演技トレーニングの中での台本読解・脚本分析は非常に重要です。
台本や脚本は、物語のベースなのですから。
しかし、これを的確に教えれる講師もそんなに多くはないという印象を受けます。
(出会ってきた生徒や俳優の話をきくとよくわかります)
台本を何度も読め!
と言われたとしても、何度も読めば分かるものでもありません。
何を、どのように意識して読む必要があるのかを教えてもらっていなければコンパスを持たないで航海に出るようなもの。
重要なポイントとしてお伝えしたいのですが、「台本を読むことと、台本読解・脚本分析は別」ということをしっかりと肝に銘じてくださいね。
そして、台本をたくさん書いている人が台本読解について触れていても、これからご紹介する視点とズレいたりイメージ先行の読解ならNGです。
作家(脚本家)と台本読解・脚本分析の作業は別物ですので、その辺の理解もしておいてください。
その作家(脚本家)が演出もする場合は、その作家が持つ視点での演出になりやすいです。
ご自身で書いた台本の台本読解・脚本分析ができてるとは限らないのが現状。
作家としての視点や希望やイメージやビジョンが合わさったまま、自分が描いた想像の具現化を目指している場合が多いからです。
演出が希望することとあなたが台本読解・脚本分析した結果と合わせて対話しながら、作品ができていくと良いですよね。
私も自分で書いた脚本だとしても、一晩寝かせて演出家としてアクティングコーチとして台本読解・脚本分析をしなおします。
すると思いもよらなかった発見や出来事が見えてきたりして興奮したり、台本を修正したりするのです。
俳優は台本や脚本を修正することができませんので、その思いもよらない発見を楽しみながら準備していけると良いですね。
今回は、こちらで用意した短い台本を使って、実践的にトライしてみましょう!
簡単に、その台本読解・脚本分析の方法をお伝えしたいと思います。
できるだけシンプルに5つのステップでお伝えします。

台本読解・脚本分析のステップ1:事実を拾い上げる

ちょっと参考台本を書きましたので、こちらを参考に進めていきましょう。
上記台本を一読してください。
まずやるべきことはこれ、事実確認!
大事なのは事実なんです。
事実は何でしょうか?
この台本から、事実を拾い上げると、以下のようになります。
- 時間:午後
- 場所:都内某所の歩道
- 登場人物:AとB
- AとBが並んで歩いている
- Aが空を見上げる
- シーンの最後にAはBの顔を見た
- AとBは知り合いである(会話や行動から導き出す事実)
これだけの情報です。
さて、問題は会話となる台詞(セリフ)は事実なのか?
台詞のような会話をした、というのは事実ですが、「台詞の内容は事実かどうか分からない」が正解です。
山縣レッスンを受けている方のほとんどは既に理解されていると思います。
役が主観的に話した内容ですので、裏付けとなる証拠が台本・脚本の中にないかぎり事実とは言えないのです。
あとは可能性の話になってきます。
嘘をつく理由がないのであれば、推測として限りなく事実に近い可能性が高いといえるかもしれません。
しかし、この台本・脚本は曖昧ですよね。
Aがついてないかどうかは分からないし、実力がないのも不確か、本当に期待したのかも不明です。BがいうようにAに次があるのかも不明ですよね。
でも、嘘をつく必要がないのでしたら、次がある可能性が高いかもしれません。
人間関係も不明です。
ということは、これらの事実から組み合わせて出てきた隙間をあなたが考えて、限定的にしていくのです。
何をチョイスしていくとシーンが効果的になるかもポイントですね。
台本読解・脚本分析のステップ2:感情を表記した部分を排除

感情を表現した指示や、形容詞は削除しましょう。
これをするのは、俳優がイメージをして演技をしてしまうからです。
台本・脚本を覚える時に、この「・・・」まで覚えてしまって、記憶で出てくる台本の青写真で「・・・」の隙間が生まれてしまい、シーンの中で相手と感応するまでもなく勝手に止まるといった現象が起きるからです。
リアリズムの演技、体験の演技を追求しているのでしたら、ぜひ削除しましょう。
そこで沈黙や間が生まれるかどうかはやってみないと分からない、が正解なのです。
監督や演出が「そこは間が欲しい」とリクエストをしてきたのでしたら、前提の準備としてBのあなたがAの悲しませたくないという気持ちがあるのでしたら、Aの顔色をうかがうために自然に間が生まれるでしょう。
あるいは、この台詞の目的が「Aに自分の方に向かせる」だったら、振り向いてくれるようにAを見るでしょう。
振り向くかどうかはわかりませんので、Aの反応によって間の感覚は変わります。
「?」「!」も同じです。
「?」だと疑問形で聞くというイメージが頭に刷り込まれています。
「!」だと強く言うというイメージがが頭に刷り込まれています。
自然に反応してみましょう。
疑問「?」でもイメージする疑問形のイントネーションで聞くとは限らないのですから。
日常、そんなこと茶飯事ですよね。
イメージではなく、起きている事実から体験して動き出すものに変えていきましょう。
そうすれば生き生きとした演技に変わっていくはずです。
台本読解・脚本分析のステップ3:状況・設定をまとめてみる

事実を見つけて、余計はものを省いたら、状況や設定が見えてきますので、状況・設定をまとめましょう。
事実から組み合わせて、そして嘘をつく必要のない会話から想像してみましょう。
Aの何かの結果が出た可能性が高い状態で、AとBは都内のどこかの歩道を歩いてる。
午後だが時間は不明。
AとBは知り合いの様子。
そこからあなたが想像の範囲を狭めていくのです。
試験、大学受験、オーディション、就職の面接、バイトの面接、推薦テスト、体力テスト、IQテストなどなど何の話かはまったく触れていませんが、そのようなものの可能性が高い。
関係はどんな様子?恋人だったら?親友だったら?職場の同期で仲が良い関係だったら?片思いだったら?
行動はどう変わってくるでしょうか?
お互いが俳優同士でオーディションのことだったら?
オーディションの結果が数日前?昨日?ついさっき?出たとしたら?
午後は午後でも夕方近くで仕事を終えた後だとしたら?昼ごはんを食べる前だとしたら?どう違う?
あなたが事実から、想像を膨らませませよう。
この台本・脚本は曖昧な部分をあえて多くしています。
注意)通常の台本・脚本はもっと設定が細かく書いていたり、ト書きも多いと思います。オーディション用台本や、練習用台本は想像の練習のためこのようなタイプが多いです。
台本読解・脚本分析のステップ4:前提の状況を考える

Aが「ついてない、実力がない、期待した自分が恥ずかしい」。
そんな風にいっているからといって、Aが落ち込んでいると思うのは浅はかです。
①落ち込んでいる可能性もあれば、
②別に落ち込んでいない可能性もあります。
A役の場合として、この2つのパターンに絞って前提の条件(直前に何が起きたのか)を想像してみましょう。
シーンは0から始まることはありません。
AはBにそっとして置いて欲しいと思っているかもしれません。
Bと一緒に合格するはずだった大学受験。
合格発表でBが合格し、Aだけが落ちたとしたら?
その帰り道はどんな状況だっただろうか。
シーンの始まる前、長い長い沈黙があった可能性があります。
Bの愛情を求めているかもしれません。
Bの愛情を感じたくて、励まして欲しい、ハグをして欲しい(手をつないで欲しい)のでしたら、Aは落ち込んだフリをする可能性もありますよね。
AはBのことが好きで片思いだった。
柔道初段のテストに落ちてしまったとしたら?
また来年にもテストがあって、毎年挑戦できるようなテストだとしたら?
Bに励ましてもらいたいので、同情してもらいたいとしたら?
悲しいふり(言い過ぎですが)してBを呼び出して、これからご飯に連れてってもらう道すがらだとしたら?
行動はどう変わりますか?
台本読解・脚本分析のステップ5:シーン全体の目的を考える(長編ならまずはスルーライン)

ステップ4とほぼ同時に考えていくことになりますが、A役は何を達成したいのか?B役は何を達成したいのか?を検討していきましょう。
ステップ4の①と②で2パターンが考えられてきました。
Aのシーンの目的①:Bに一人になりたいと思わせる。
Aのシーンの目的②:Bにハグさせる、手を繋がせる、など。
状況・設定を絞っていくと、可能性が絞れていきます。
事実から逸れないように、発見していくことです。
その後、障害や動機を見つけてください。
以下の「参考記事」をぜひ参照してみてくださいね。
台本読解・脚本分析は、映画をたくさん見るだけでは解決しない?

台本読解・脚本分析のスキルアップをしていくためには、映画・本をたくさん観る・読むだけでは解決しません。
台本・脚本を読みあさるだけでは解決しません。
何をする必要があるのか、ステップ5まで説明した方法を知らないかぎり台本読解・脚本分析したことにはならないのです。
何を、どのように意識して読む必要があるのかを教えてもらっていなければコンパスを持たないで航海に出るようなものなのです。
勝手な主観から判断したりした場合、他の事実の整合性がとれていなかったりということはザラです。
役が何をしたいかを理解もせずに、役の目線に立って生きることはできません。
本や台本・脚本を読んだら、事実は何だったか、長編であれば、スルーラインを考えてみることが練習となります。
重要なポイントは主観的なイメージから離れること

台本読解・脚本分析の1番やっかいなのは、あなたの初見のイメージです。
勝手に想像されたあなただけの世界に固執してしまい、そこから離れられず、事実と反した想像で突き進んでいる可能性もあるからです。
脚本家・作家が監督や演出をした場合に陥りやすい罠もここなんです。
初見はお客様の感想として大事にしてください。
2回目からは、「よし、探偵になるぞ」というつもりで、事実と証拠を探していく必要があります。
台本読解(脚本分析)ができない!?俳優が台本・脚本から役を知る5つの方法ーまとめー

ステップ1〜5と簡単にまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか?
このような考え方をしていくのも習慣によって身についていきます。
- 台本読解・脚本分析のステップ1:事実を拾い上げる
- 台本読解・脚本分析のステップ2:感情を表記した部分を排除
- 台本読解・脚本分析のステップ3:状況・設定をまとめてみる
- 台本読解・脚本分析のステップ4:前提の状況を考える
- 台本読解・脚本分析のステップ5:シーン全体の目的を考える(長編ならまずはスルーライン)
最初にお伝えしましたが、私は自分が書いた脚本でさえ、新発見をしたり時間軸での発見や見落としをしています。
新鮮に台本を読み直すことは、俳優・監督・演出家にとって必須です。
俳優と監督・演出家が、必ずしも同じように読解しているわけではありません。
だからこそ、何パターンかを俳優が用意して試す必要があるのです。
事前に選択を狭められる話ができるような関係が監督や演出家と築けているのでしたら、ラッキーです。
あなたの見解を伝えながら監督・演出家のビジョンを引き出してください。
無数に散らばった海の中で監督や演出家が狙っている岸に他とどりつけるように、あなたは挑戦していく必要があるのです。

この台本読解・脚本分析の方法をさらに勉強してみたい方は、こちらの10日間無料演技講座をぜひ受講してみてください。
たくさんの方が受講しながら、学びを深めています。























事実とは、不変のもの、揺るがないもの、ですよね。
あなたの気分で変えることができないもの。
Goo辞書も参照にしてみてください。▶︎事実