現役演技トレーナーとして、随所で演技講師や演技トレーナーお仕事を頼まれる中で単発で行ったりする現場もあります。
その中で現役の俳優や俳優の卵たちと最初にセッションする時間を設けるのですが、いつも私としては面食らいます。

どうしてなりたいと思ったの??

仮面ライダーが好きで、俳優になろうと思いました。仮面ライダー以外はあまり見ていません。

ふむふむ、かっこいいもんね、憧れるよね。

日本のドラマは見るんですが、海外ドラマはあまり見ないです。

好きな俳優さんがいるんだね。いいね。

推しがいるので!

メソッド演技や、スタニスラフスキー、リー・ストレスバーグ、サンフォード・マイズナー、エリア・カザン、ステラ・アドラー、マイケル・チェーホフなど、聞いたことある人いますか?
アル・パチーノやロバート・デ・ニーロなどの名前を聞いたことある人いますか?

知りません!
このような会話を10代〜30代まで、よく聞きます。
一流と言われる演技を観ていないことや、演技を開拓していった人たちのことを全く知らなかったり、アカデミー賞クラスの俳優を知らなかったりと・・・驚くことがよくあります。
もちろん、日本のドラマや仮面ライダーも素晴らしい作品です。多くの学びもありますが、どんどん作品がNetflixをはじめ世界配信される中で、演技コーチの元で演技レッスンをした俳優や演技トレーニングをしてきた俳優と共演する機会がきっと増えるでしょう。
人間ドラマ、人間描写で世界で勝負できる俳優がどんどん育って欲しいと私は思っています。
そのためにも、ぜひ世界の名演技や名作に触れてもらいたいと考えています。
そこで、今回はおさえておきたい名作と名演技を男性主演3作品と女性主演3作品、合計6作品を簡単にご紹介したいと思います。
※まだ観たことない方向けにご紹介となります。
また、俳優が一人でできるトレーニングについてブログで何度かお伝えしていますが、映画を観るということもまたひとつのトレーニングでもあります。※もちろん、舞台もです。
俳優になりたいのに演技を見ていない

冒頭でもお話ししましたが、俳優をしたいのに、舞台や映画を観る機会があまりないといった現状を知って、私は時々驚いてしまうのです。
それでも「なりたい」のですから、私はその意思を汲んで演技トレーニングをしていきますが、
仮面ライダーの演技しか知らない人に対して、アル・パチーノやロバート・デ・ニーロ、シャーリーズ・セロン、ケイト・ブランシェットのような演技を目指す指導をすることはなかなか難しいところです。
(仮面ライダーが悪い演技ではなく、アプローチや演技のベースが違うということです)
私のクラスにおいて、私のレッスンがどこに向かうのか知らずに「演技」に向かって走り出すのは、ゴールや目標が見えない中で知らない車に乗って走り出すようなものですから、必ず演技について最初にお話しをする時間を作ります。仮面ライダーを目指すとしても、世界に通用する仮面ライダー俳優を目指したいところですね。
私のクラスでは、最初にこのレッスンで何を目指していくのかを確認し、提示し、認識してもらってから演技トレーニングをしていくことが基本です。
草野球しか知らない人に、いきなりプロ野球のトレーニングはできません。
また、草野球を目指している人に、いきなりプロ野球のトレーニングはしません。
こんな当たり前のことが、意外と養成所やスクールでは認識できていなかったり、またプロの講師がいきなりプロのトレーニングをしていくことが起きてしまいます。需要と供給があっていないのです。
俳優の卵が見るべき映画

こんな表現は実はあまり好きではないのですが、ブログを盛り上げるためにもあえて使用しています。観るべきの「べき」という言葉が強要感があって嫌いなんです。
本当は、演技を追求したいと思ったら自主的に調べて探して、あるは人に聞いて映画や演劇に出会っていけるといいなと思っています。
なぜ名優の演技、名映画を観るのが良いのか?
それは、我々の心を動かす力が強く強くあるからです。
また、人間の可能性を演技によって解像度をあげることを目撃するからです。
俳優は勉強のためにも、今からご紹介する映画を見て欲しいと思っています。
これらの映画の演技は、役の目的やスルーライン(役が得たいもの、ニードとも言われます)がしっかりと見えてきます。
役や脚本分析を勉強するためにも非常に良い映画だからこそ、ご紹介します。
一流の演技を見ていない人が観るべき映画6選!

男性主演の映画3作品と女性主演の映画3作品の合計6作品をご紹介します。
正直あまり説明を聞いて映画を観るのはもったいないと思っています。作品も素晴らしいのですが、演技にフォーカスして簡単な案内としますね。
今後、男性女性区別なく主演俳優賞という名前になる映画祭が増えると思いますが、ここでは賞を受賞した俳優が男女と分かれていますので、そのようにご紹介しています。
これらの映画を今から初見で観れる環境の方が羨ましいくらいです笑。
初見を大事にしてくださいませ。
ゴッドファーザー part1(part2も含む)
鉄板中の鉄板ですが、アル・パチーノの心の動きが手に取るように分かる緊迫したシーン。
またマーロン・ブランドのドン・コレリオーネの役作りと居方、対話中に見せる心の機微の変化を見れる数々シーン、どこを取っても見どころが満載の金字塔とも言える作品です。
また、マーロン・ブランドはメソッド演技を世界に証明して見せた初期の俳優です。そして、アル・パチーノも同様で、その2人が共演していることも興味深い作品です。
トレーニングデイ
デンゼル・ワシントンの役としての貫き方、ラストに見せる心の弱さと強靭な身体との矛盾したバランスがそのまま人間を映し出す名作。
この映画でデンゼル・ワシントンはアカデミー主演男優賞を受賞していますが、どの作品でも素晴らしい取り組みをされていて、観る側としても毎回楽しみになります。彼の演技にはいつも圧倒されますので、おすすめは多数ですが、キャリアの中でこれまでとやってきた役と対極に位置する姿が観れると思います。
タクシードライバー
ロバート・デ・ニーロの演技は圧巻です。「レイジングブル」という映画で体重の増減などの取り組みでも大きな話題となり、役作りの新しい方向の先駆けを提示した開拓者です。
鏡の前のシーン、いわゆる名シーンは即興演技から生まれています。この即興こそ、メソッドアクティングでいうところの「プライヴェート・モーメント」が生み出した傑作シーンなのです。「プライヴェート・モーメント」訳すと「公開の孤独」となりますが、それは誰も見ていない中、独りであるという体験の中で生きるトレーニングです。
まさに「プライヴェート・モーメント」を体感したシーンを、我々観客が覗いて観ているような状態になります。そんな究極のシーンを驚異的な変化を見届けながら観れる作品です。
モンスター
シャーリーズ・セロンがアカデミー主演女優賞を受賞した映画です。
こちらも体重の増量や、眉毛を剃り、メイクをとったような顔でシーンに生き続ける姿に驚きます。彼女が役を体現しながら今を生きているダイレクトな演技を観ることができます映画です。
胸が苦しくなるのは彼女がシーンの中で役を生きており、その感受性がそのままダイレクトに観客に訴えてくる力があるからです。
心の変化も滲み出ており、素晴らしい演技。
あるスキャンダルの覚書
ケイト・ブランシェットとジュディ・デンチの名女優W主演のバトル。
これはもう必見中の必見。他にも出演映画でおすすめは数多ですが、根深い嫉妬という負の感情をここまで滲み出せる2人の俳優の心の動き脱帽です。
まずはこの2人の演技合戦をぜひご堪能ください。
ちなみに、ケイト・ブランシェットのおすすめ映画は多数です。近年では「ター」で主演女優賞を受賞しています。
ブラック・スワン
「レオン」で子役からデビューした、ナタリー・ポートマンがバレリーナを生き、アカデミー主演女優賞を受賞した作品。
役作りとして体の作り方やバレエのトレーニングなど過酷な状況を乗り越えての撮影だったとご自身が告白しています。その熱量は素晴らしいかぎりです。
また、葛藤や胸の内がそのままストレートに滲み出ており、いつ倒れてもおかしくないほどの繊細な状態は観客にヒヤヒヤとさせてくれます。
まだまだご紹介したい作品はたくさん!
男性と女性と3作品ずつご紹介しましたが、映画好きの私としてはたくさんたくさん紹介したい映画があり過ぎて困ってしまうほどです。海外ドラマを含めると、もうキリがありません。まだまだ、名シーン、名演技で観て欲しい映画が無数にあります。
ここでは日本映画を紹介していませんが、もちろん日本にも素晴らしいアクターの名演技がたくさんあります。
あの映画が入っていないじゃないか!などなど思われる方もいらっしゃると思いますが、いったんはこの6作品をご紹介という意味でご理解ください。
今回は、スタニスラフスキーから派生して広がった演技の世界を知るうえで、メソッドアクティングを含め開拓者たちの演技やメソッドアクティングでないにしろそれらと同等のアプローチで見せてくれた演技をぜひ観て欲しくてご紹介しました。
まとめ

私は映画好きで映画を観る楽しさや舞台で生きる楽しさから、俳優という仕事をはじめました。故郷の山口県下関市という田舎の中で、小学校の頃から両親に車で1時間かけて映画館に連れて行ってもらったり、レンタルビデオに連れていってもらったり、WOWOWに加入してもらったりと、私は多くの映画に触れてきました。
それは本当に幸せなことでした。
また好きになった映画や興奮した演技は何度も何度も繰り返し繰り返し観て学んだものも多くあります。チャップリン映画やハリウッド映画、名作映画も何度も観ました。
現在では配信映画では次から次へと、アルゴリズムで「次はこの映画を観て!」と連携してくるシステムの中、次々と新作が目の前に差し出されてくる家庭内映画産業。新しい映画を見た方が過去に見たものよりもお得感があり、同じ映画を観る機会を逃しやすいかもしれません。
本能的に刺激を追いかける我々は、同じ映画を何度も見て勉強するという機会が少なくなってしまった可能性すらあります。しかし、名作や名演技はぜひ繰り返し観て欲しいものです。
俳優を志すのであれば尚更ですね。
ご紹介した映画は、ある種のレジェンド的なものが多いですが、ひとまずはおさえておきたいものばかり。まだまだ、たくさんこれからもご紹介していきます。
また、演劇の中でも素晴らしい作品や演技を見せてくれる劇団も知っていますので、そちらもご紹介していきたいところです。
































俳優になりたいけど、映画はあまり見ていません。