こんにちは、演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、久しぶりに俳優業を再開する方などに役立ててもらえたらと考えています。
私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」
さて、今回はオープンナップについてです。
この聴き慣れない言葉は何でしょう?

花が咲くといった意味もありますが、「開くこと」、総じて「心が開く」そんな意味になります。
英辞郎より
英語で表記すると「Open Up」
意味:心を開く、心を打ち明ける、隠さず話す。
このオープンナップができているかどうかで、シーンの中で素直な喜怒哀楽できるかが決まってきます。
つまり、こう言えます。
自然な演技に繋がる重要な一歩、と。
そして、監督や演出家と俳優にとってお互いの信頼関係をもたらす上でも重要なこと、と。
俳優が、心を開くとはどういう意味ですか?

そもそも、この「心を開く」という状態が、どんな状態なのかが、経験したことのない方には未知の領域です。
オープンナップが出来ている俳優とそうでない俳優は演技が一目瞭然に違います。
どっかで格好をつけていたり、見え方を計算に入れていたり、見せたい自分だけをオープンにしていたり、といった具合です。
二枚目俳優と呼ばれる俳優や、高視聴率を叩く俳優は、どこかでその部分で商品化された自分を見せれる範囲で全開にしてトライしているようにも感じます。
確かに見せたい自分だけの部分を、オープンに出せるってことも実は凄いことには違いありません。
しかし、私が観たいのは、或いは世界中の映画ファンが観たいのは、カッコつけた人の演技よりも、むしろ役を生きたその人がさらけ出してきたモノだったりします。
つまり、オープンナップとは、すべての感情を自然にさらけ出せることなのです。
また、言い換えると、シーンの中でどんなに傷ついてもいい状態でいられること、なのです。
マイナスな感情はなかなか普段表に出したりしませんよね。
例えば、嫉妬や執着心や性癖など、俳優は自分を使って演技をしていきますが、普段見せることのないそれら部分が役が必要ならば晒していけることが必要なのです。
体がリラックスしても心のドアが閉まっていることがある

オープンナップをするためには心と体のリラックスが必要不可欠です。
体が柔らかくても、他の人の意見を突っぱねたり、常に孤独でいようとする人などは、体と心がとてもアンバランスです。
本当は開きたいのに、うまく心を開けていないのかも知れません。
マイケル・チェーホフという俳優が、心と体の繋がりをトレーニングで実証しています。
マイケル・チェーホフテクニックというトレーニングを学ぶこともまた面白いと思います。
さて、心と体の密接な繋がりを知るために以下のことを是非試してみてください。
①体育座りで頭を垂れて下を向いたまま、「上を向いて歩こう」を歌ってみてください。
②立ち上がって、手を広げて胸を開いて、「上を向いて歩こう」を歌ってみてください。
さて、どちらが歌の気持ち繋がったり、前向きな気持ちになりました?
恐らく、多くの方が②だと思います。
心を開くことと、体を開くことは実は密接に繋がっているのです。
つまりオープンナップが出来ている人は、相手に対する素直な姿勢や演技での返し方、また響いて出てくる音色も違うでしょう。
私はよく例えますが、「ドクタースランプアラレちゃん」のアラレちゃんは心の隠し事がほとんどないのでいきなり人の懐に飛び込んできて「んちゃ!」ってきます。
来られた方は「は!」っとして驚きますが、アラレちゃんがオープンだからこそ相手との距離感が短いのです。
また、体がリラックスしているように見えても、心が閉じている方は、喉や胸や背中に余分な力が入っていたりします。オープンナップをしていくと、そういったことが自分のことを知ることで相手のことも見えてくるようになるのです。
モラハラ、セクハラの温床になり得ますので気をつけてください

オープンナップについて、時々マイナスなことを心配したり書いたりしていらっしゃる方もいます。そのために記載しておきますが、以下ような講師からは逃げてください。
オープンになること「心を開くこと」を強要しながら性的な関係を持つことに利用しようとする講師です。この世の中には、そのような講師が一定数いる可能性があります。
女性の生徒も男性の生徒も、どちらも気をつけてください。
そのような演技トレーナーや演技講師とは距離を置いて、他の人に相談をしてください。
講師対生徒という力関係を利用したセクハラであり、パワハラです。
また日本では監督や時にはプロデューサーまでもがなぜか演技講師をしてしまいます。
演技メソッドをトレーニングしたりした訳でもなく、専門家でもない方が、持論を展開していくのです。
仕事が絡んでくる、仕事に繋がる可能性がある、そんな関係性の中で、生半可な知識で「心を開くこと」と「体を開くこと」を結びつけてセクハラや関係を求めてくるケースが令和になってようやく表に出てきました。
みなさん、こういったことに騙されることなく、現場から逃げて違うコースから仕事を得るようにしてください。
海外ではキャスティング能力のある人が、このような演技トレーニングをしたりはしません。
あるとすればオーディションです。
私は、みなさんに俳優のお仕事を提供できる立場ではありませんので、特に演技を磨くこと以外に何のメリットもないのでご安心ください。
大事なのはオープンナップしながら、お互いがリスペクトし合える関係であり、「信頼関係」です。
オープンナップトレーニング

オープンアップには心と体を開くことが重要だということが見えてきたと思います。
では、どうやってトレーニングしていくのか見ていきましょう。
リラクゼーショントレーニングのやり方はこちらの記事を参考にしてください。
そのやり方を分かったことを前提に、ステップ①〜④としてみました。
- リラクゼーショントレーニングをしながら声を感じたままに出していく
- ステップ①を日々繰り返していきます。リラクゼーショントレーニングで四肢をバラバラにして日常から離れていくと、やがて潜在意識に心がタッチしていくようになります。
- 上記ステップ②を感じ始めたら、自分の背中を押してあげるように声を出していきます。すると、それまで抑えていたものが溢れ出していくような感覚がやがてやってきます。
- ステップ③の領域にきたら、レペテショントレーニングをしていくと、相手が開いているかどうかがよく分かるようになります。
これは適切な演技トレーナーや演技コーチのもと、様子を見ながら感覚を得ていくのが望ましいものとなります。
体の余分な緊張が自分で分かるようになると、相手のそれも見えてくるようになってきます。開いているのか閉じているのか、特にレペテションは一目瞭然だと感じています。
このトレーニングの中で、体の変化と心の動きの繋がりが、密接なことが分かってきます。すると、心と体に違和感があると、とてもちぐはぐしているのが見えてくるようになります。つまり、自分の感情がオープンになっていくと同意に、相手の状態も分かってくるのです。
ステップ④のレペテションはサンフォード・マイズナーが発案した、お互いが感応し合うトレーニング方です。
これに関しては別途記述しますが、このトレーニングはオープンナップができていないと意味がありません。これにより、かなり相手の心の開き具合や状態が見えてきたり、感じられたりします。
誤解されている必要不可欠なリラクゼーション

世の中には、スタニスラフスキーシステムを使用して、リラクゼーショントレーニングやオープンナップは不要だと考えている演技トレーナーもいます。
役が目的に向かって行動し、障害にぶつかれば、感情は出てくる。
必要なのは想像力と、目的と障害だと。
必要なのは、目的と障害なのは間違いありません。
しかし、目的に向かって行動することに我々は体から慣れていないのが現状です。
予めリラックスした心と体を持っていたり、その方法を知って自分でコンディションを調整できる俳優であれば、別途リラクゼーショントレーニングが必要なかったケースはあるでしょう。
私たちは、察する社会に生きて、失敗しないようにうまく生きるよう教え込まれた日本教育の中にあって、そもそも欲求にしたがって行動することが演技の世界だとしても、なかなか出来ないのです。
体がいうことを効きません。
心がいうことを効きません。
例えば、シーンの目的が、「絶対に謝罪させる」や「自分を好きにさせる」だった場合に、本気で行動できそうですか?
頭で想像する動きではなく、あなたが欲求からそのように行動することは可能ですか?無理やり謝罪させるくらいの勢いは、もしかしたらDVに近い家庭環境の中なら経験があるかもしれません。或いは社畜経験のある方などであれば・・・。
できれば経験したくないですよね?それを想像を経験に変えて本気で行動する必要があるのです。
こういうことがオープンナップができた俳優や、演技トレーニングを積んだ俳優は、すっと入ってやってしまうのです。
だからこそ俳優の感情が動き回り、見る側も手に汗を握ったり、ドキドキするのです。
まとめ

私は演出家としても仕事をしていますが、オープンナップが最初から出来ていると感じる俳優さんは少ないです。
自分のプライドや経験値の浅さなどから「下手だと思われたくない」といった気持ちを隠しながら仮面をつけて現れます。
そんな時、顔合わせでリラックスする時間を作るようにしています。また求める演技についても説明を予めしたりします。しかしながら、いざシーンの稽古をする際に、ガタガタな状態や想像力が行動と反映していないシーンを目撃します。
実際のところ演技のベースを独学だけで十分とたかを括っていたり、「分かっています」といった返事で、全然分かっていなかったりするのです。
体験する演技を求めているのに見せる演技しか出来なかったりするのです。
これはとても残念な状況です。
つまり演出に対して、開いていない状態の俳優がそこに居ることになります。
私から開いていきながら、失敗しても問題ないことを提案しながら、シーンの捉え方や目的を使った演技で役を生きる方法を導きながら演出していくのです。
俳優もだんだんと仮面を捨ててオープンになってくる瞬間がやがてやってきます。
そうすると、演技のパフォーマンスは格段にあがっていくのです。
メソッドアクティングをベースにしている俳優ですら、現場での演技ツールの使い方がよく分かっていなかったりしますので、その場合も私は演出方法でカバーしていきます。メソッドアクティングを知っているのであれば共通言語があるため、意思疎通とやりたいことを理解してもらいやすいメリットがあります。
俳優も演出家も心を閉ざした時点で、その公演は失敗です。
どちらかが閉じていても失敗です。
両方開いた時にこそ、素晴らしい演技と公演が生まれるのです。
お互いが許し合える関係が理想なのです。
だからこそ、オープンナップが重要だと思ってもらえたらと思います。






























オープンナップって、なんですか?