演技の練習って何をすればいいの?一人でできること、それは柔軟です

演技の練習って何をすればいいの?一人でできること、それは柔軟です

メソッドアクティングを広めた人の一人、リー・ストラスバーグはこう言っています。

りー・ストラスバーグ

1にも2にもリラクゼーションが重要だ

リラクゼーションの重要性は過去のブログでも伝えていますので、是非過去の記事をご参考ください。その上で読み進めてもらえると幸いです。

そのリラクゼーションができる身体をつくるには、この柔軟(ストレッチと同義語ですが、以下柔軟と表記します)が欠かせません。
そして、体が柔らかくなれば心も柔らかくなる、と言っても過言ではないくらいに柔軟性は重要な要素のひとつです。
私はこれまで多くの俳優や俳優のたまご、また一般の方を対象に見てきましたが、多くの人が「体の柔らかさと心の柔らかさ」が繋がっていることを感じています。

つまり、柔軟性は心と体、心体(しんたい)の柔らかさに繋がるということ。
逆も然りで、

感情豊かな素晴らしい演技をする人は、実は身体も柔らかい

ということです。

素晴らしい俳優は、内面を隠しても、その目に滲み出てくる

女性がこちらを見ているアップ。目の下には涙の跡。

声と体は密接な関係であり、その連動をしっかりと反映させていくことが俳優として重要です。
また声が心と密接に繋がっていることは誰も異論がないのではないでしょうか。

しかしながら柔軟性がなくリラクゼーションができていない俳優は、内面を隠したら何も出てこなくなってしまうのです。日常から我々はポーカーフェイスで頑張ってマイナスの感情、時に良い感情まで見せないように本音を抑える習慣があるからです。

素晴らしい俳優は、内面を隠しても、その目に滲み出てくる演技が生まれます。
これをしたいがために、ポーカーフェイスで生きてきた人は内面が何も出てこない状態で、何とかしようと、結局形で表現して対応しようとしてしまい、「見せる演技・形の演技」に陥ってしまうのです。

1人でする演技の練習は何ですか?

よく聞かれる質問のひとつです。

生徒さん

演技の練習の仕方が分からない。
家でできることってありますか?

ありとさん

それって良く聞かれるけど、意外とたくさんあるんだよ。
演技トレーニングには様々な方法やツールがありますが、まず基本の「き」として柔軟をしてください。

このように私はいつも応えています。
しかし、多くの人の心の反応は・・・

生徒さん

※心の声
(はいはい、柔軟ですよね・・・)
(ダンスじゃないしそんな重要じゃないでしょ、台詞とか練習必要でしょ)
(面倒くさい)
(それって練習じゃないじゃん)

こんな認識だと思うのですが、
人間観察も練習のひとつなら、柔軟も日常からできるトレーニングのひとつです。
ぜひ、やっていきましょう!

また心体の準備ができていない中で、いきなり台本を使用したりしません。それは料理人が食材を揃えないで料理し始めるようなものです。

俳優に柔軟性が必要な5つの理由

  1. ケガをしないようにするため
  2. 相手にケガをさせないようにするため
  3. 監督や演出のリクエストに対応するため
  4. 起きた感情をそのまま声に乗せるため
  5. 相手の台詞や感情を受け入れるため

この5つは覚えておきたいところです。

まず最初の①②ですが「ケガをしない、させない」といことですね。
言わずもがなですが、スポーツと同じです。体が資本の俳優という仕事において、とても重要な要素です。説明は不要かと思いますが、体が硬い人が転ぶのと体が柔らかい人が転ぶのはどっちの怪我が大きいか、など想像に難くないかと思います。

③については、カット割の中で体の一部だけをクロースアップにしたり、動かしたりといったことがあるためです。また体の一部が力んでいると、どうしてもロボットのように動いてしまったり、監督や演出のリクエストに対応できない体になってしまうからです。
また、体を自然体のバランスで存在させることにも不可欠な理由なのです。

起きた感情を声に乗せ、相手の台詞を受け入れるための土台を作る

ピクニックでワインを飲むカップル

特に重要なのは④と⑤です。
④について言えば、心の動きが自然と声に乗っかっていくように我々はトレーニングをしていく中で、体が硬い状態だと極端な話、錆びたロボットのような声を出してしまうということです。

それは発声がよくないことにも連動してきます。喉に余分な力が入りやすくなっているため、自然な音色が体から出にくい状態だとうことです。体からバイブレーションする声が俳優にとって必要な要素であることを認識してもらえたらと思います。

⑤については、「心を揺らすため」の必須条件です。心や体が硬いということは相手から来たボール(会話やエネルギー)を跳ね返してしまう状態と認識してもらえたらと思います。体が硬いということは筋肉が収縮している状態、つまり緊張状態です。リラックスから遠い体の状況は相手のことを受け入れる環境にないことはリラクゼーションの重要性を確認いただければわかると思います。

何年演技トレーニングしても基礎の認識が薄いとレベルアップしない

顔と手以外はロボットの人の画像

もう10年近く付き合いのある俳優でも、こと柔軟となると呼吸を忘れていたりするので驚きます(私がずっとトレーニングしているわけではありません)。何度も何度もその重要性を伝えるしかないのですが、本人に重要性の認識が根付かないことには、柔軟の重要性なんて忘れてしまうものなのです。
歓迎されないような無意識の習慣から離れることは難しいのです。

筋トレも呼吸をともなっていない方法でやり続けるとただの鎧作りです。柔軟性を欠いた筋肉は正直邪魔でしかありません。また柔軟も呼吸を瞬発的に止めて体を伸ばしてしまうとただの負荷を与えるだけにしかなりません。筋肉やインナーマッスルを伸縮させるものにならないのです。

しかし、そのような習慣で柔軟や筋トレをやっている人が多いこと!
習慣は無意識になされることも多いため、よほど気をつけてご自身で対応していかないことには何年演技トレーニングをしても何年経っても変わることはありません。

言い方は悪いですが、だからその人の演技が硬いのです。
だからその人の演技がぎこちないのです。
そのブリキのような心体をご自身が認めて、改善したいと心から思った時に初めて認識していくことだったりします。それを受け入れる柔らかい気持ちが必要な要素なのです。

呼吸と連動して柔軟をすることが必須

呼吸は吸うと吐くから成り立っています。
呼吸と声は密接に繋がっていることは分かってきたかと思います。
その密接な関係を自然にしていきたいところですが、それが難しいからこそトレーニングが必要なのです。心体にとって基本の呼吸法は以下になります。

「体を伸ばす時に息を吸い、体が萎む時に息を吐く」
「体が開いていく時に息を吸い、体が閉じていく時に息を吐く」


これがベースになります。

俳優のための呼吸と声のワンポイント

上記は呼吸だけでしたが、俳優は感じたことが自然と声に乗せていく必要があります。
ですので、呼吸を吐くタイミングで一緒に「はぁ〜〜〜〜」と声を乗せてください。

自宅で声がしっかり出せる時はしっかり出してみて、声が出せない場所であれば深呼吸で問題ありません。
呼吸と声を繋げていく作業だと思ってください。
リラクゼーショントレーニングの内容と一致してきますね。

そして、声を出しながら、柔軟時に痛かったり、苦しかったりした場合はそのままその痛みや苦しさを声にのせてください。

文字で書くとこんな感じでしょうか「ぐあああああああ”〜〜」
呼吸を止めないで、できるだけ吐ききってから吸ってを繰り返してみてください。その繰り返しこそが、自然な呼吸と自然な感情表現に繋がる道なのです。

養成所では教えてくれないこと

壁からひょっこり顔を出して驚いている人

養成所は、はっきり言って何をしたらいいか分かっていない講師も数多く存在しています。
夢を叶えたい人たちを餌に、演技トレーニングを積んでいない役者や演技を積んだことのない監督などに依頼してレッスンをさせ、「やっている感」を継続させて月額料金をいただくというシステムです。真剣に俳優を育てようとしているのかどうかは、正直レッスン内容で見えてきます。

いきなり台本をやって、いきなりダメ出しをするようなレッスンは意味がありません。監督は希望を俳優に伝えることができても、監督は俳優がそのリクエストに対する応え方の準備やトレーニングを教えることができないのですから。(演技トレーニングやメソッドを学んだ監督などは別です)
またリラックスの重要性や、柔軟性の重要性を伝えない演技レッスンは基本的に避けた方が良いでしょう。

逆に言うと、それらがまかり通ってしまっている現状がありますので、私は心配しています。
自分の置かれた現状を心配された方は、このブログを読みながら認識を新たに俳優トレーニングの演技の基礎の「き」から挑戦してもらえたらと思います。
数学だって最初は算数から、もっと前は数字から学習していきます。なのに演技の教室やレッスンは、数字をやっと覚えたような相手に数学のテストを出してダメ出しをしてその気になっているのです。非常に不可解かつ理不尽としか良いようがありませんよね。

まとめ

夕日に染まるビーチで、瞑想ポーズで座っている人

今回は柔軟の重要性と、柔軟の仕方をお伝えしました。
呼吸と声と体が繋がっていることを理解して、そのことを日常から心体に染み込ませていってほしいところ。
私たちは、社会性を意識するあまり、呼吸と声と体の密接な関係を遮断してきている場合がほとんどです。感じた本音を表に出さないで生きていかなければならない環境にいる人がほとんどなのですから。

つまり、演技トレーニングの基本としては、子どもの頃に持っていたものを取り戻していく作業に他なりません。その一つに柔軟性があります。そして、柔軟は日々できるものです。

ただ、体を柔らかくするのだけでなく、俳優ならば呼吸と声を伴った柔軟をどうか継続してみてください。
俳優でなくとも、きっと自然な自分の状態に近づきながらどんどん内面から健康になっていくはずです。ご自身の健康のためにもトライ!

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