芝居くさい・嘘くさい演技ってどんな演技?その原因と対策

芝居くさい・嘘くさい演技ってどんな演技?その原因と対策

こんにちは、演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、久しぶりに俳優業を再開する方などに役立ててもらえたらと考えています。

私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」

さて、今回は誰もが避けたい演技について考えてみたいと思います。
芝居くさい演技・嘘くさい演技についてです。
みなさんは、芝居くさい演技ってどんな演技だと思いますか?

  • 身振り手振りが大きくて嘘くさい、いわゆるオーバーリアクション
  • 感じていないのに感じているフリをしているように見える
  • リアリティがない演技

定義:芝居くさい演技とは、台詞の言い方や言い回し、動作が大げさだったり、わざとらしかったり、観ていて嘘っぽく感じてしまう演技。

となるのではないでしょうか?
問題なのは、そのような俳優は、自分のことを嘘くさい演技をしているという自覚すらしていなかったりすることです。また、自覚していても、どうしたらいいか分からないまま悩んでいる俳優もいるでしょう。
今回は、その原因や対策について書いてみたいと思います。

芝居くさいって言われるのですがどうしたらいいですか?

ちょっと分かりやすく会話形式で見てみましょう。

生徒さん

芝居くさいって言われるのですがどうしたらいいですか?

アリトさん

結果的に言うと、今を生きていないからです。

芝居くさい・嘘くさい演技は、
簡単に言うと「今を生きていない」「そこに居ない」演技をしているからです。

生徒さん

「今を生きていない」ってどういう意味ですか?

アリトさん

それは、今その瞬間に相手と繋がって対話していない状態です。
それは同時に「そこに居ない」といった状態を生み出しています。

生徒さん

「今を生きていない」ってどういう意味ですか?

アリトさん

例えば、今、私とあなたが家族の在り方についてお話しをしていた場合。

大事なお話しをしているというのに、私が書きかけの映画の脚本のことを考えていたり、何か昔の彼女のことを思い出しながら話をしていたり、している状態のことです。

それって単純に日常で考えてみると分かりますが、失礼ですよね。
スマホを見ながら、話を聞いてるフリをしているようなものです。

生徒さん

めちゃめちゃ失礼ですね・・・。
それって彼女とだったら、ヤバいです。

アリトさん

そうなんです。
目の前の相手と対話しているように見えて、全く交流していない状態なんですよね。

芝居くさい・嘘くさい演技の原因とは何か?

基本的に多くの俳優・役者が言われたくない言葉No.1に該当するこの
「芝居くさい・嘘くさい演技」
というものの原因を探ってみたいと思います。

先ほども述べましたが、「今を生きていない」「そこに居ない」という状態は何をもたらすのかと言いますと、リアリティがない世界を生み出します。

みなさんがこの世界に生まれて今を生きているのは、その瞬間瞬間を初めて受け取りながら行動し、結果的に心を動かされているからです。

そして、自分の過去の傷や経験などは相手と話しながら自然にオーバーラップして今の感情と混ざったりしながら対話をしています。
これが本来の自然な状態。

演技をする場合、役のことを考え、その役の過去や経験などを意図的に自分のものと置き換えるために思い出して対応したり、または段取りを考えたり、どのタイミングでこうしようああしようと画策してしまうと、自然な状態からどんどん遠くなっていくわけです。

すると、相手が今、その瞬間に話していることや態度に反応しているわけではないので「今を生きておらず」且つ「その世界に居ない」状態のため、嘘くささが生まれます。

また、その嘘くささを隠そうとするために、身振り手振りでなんとか伝えようとしたり、反応しようとして、思ってもないのに大きく頷いたりなどの動きをしてしまうのです。
それは相手と、今、その瞬間に、交流していないことが露呈しているのです。

演技プランがあなたの行動や感情をコントロールしようとする

よく演技をするにあたり「あなたの演技プランはどんなものですか?」などと聞かれたり、「演技プランを考えた」といった言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

演技プランは、監督指定の段取りなどが含まれていて、俳優がどう行動するのか順番を決めたり、誰の台詞でこう反応しようと決めて準備したりするものです。

さて、ここに大きな問題があります。
もう先ほどの説明を読んだ方なら分かってくると思いますが、この「演技プラン」というものが嘘くさい演技の原因なのです。

段取りをどこかで考えながら演技をしたり、相手の台詞にどのように反応しようかなどと決めた時点に嘘くさくなるのです。なぜなら、今その瞬間から反応しているのではなく、決めた段取りで反応しているからです。
つまり、「演技プラン」とは、今を生きることができない準備をしているのです。

行動や感情をコントロールしようとした演技を何と言っていたか覚えていますか?
こちらの記事をご参考ください。

嘘くさくなる原因は、実は「演技プラン」という思考だった

段取りはカメラや舞台上必要ではありますが、その段取りを段取りと考えなくなるほど自然に体に落とし込むことが必要です。台詞もまた同様です。

また人間は予めどう反応するかを人は決めることはできません。
決めるから嘘くさくなるのです。
それって日常でもきっとそうですよね。

例えば、サプライズのお誕生日パーティを事前に当事者が知っていたら、サプライズされても「驚く」という反応を決めてがんばってしまい、結局嘘くさくなってしまいます。
うまく演じても、ギコチナイものになるのではないでしょうか?
知らなかった時の衝撃は生まれません。
しかし知らなかった時のことを想像して、頑張ってしまい大げさになるのです。

嘘くさくなるのは、そう感じてもないのに、そう見せようとして、「表現する」からです。

芝居くさい・嘘くさい演技をしないために

芝居くさい・嘘くさい演技をしないために、演技中に思考することから離れましょう。
そう、「演技プラン」という捉え方から外れていきましょう。

演技はプランすると、相手との対話を失ってしまい、自分が準備してきたもので応戦しようとしてしまいます。

正直に言いますと、「演技プラン」に慣れてしまった俳優は何が良くないのか、何が芝居くさい原因なのかさえ自覚できずにいます。そして、この方法論から離れられず、芝居くさいと注意を受けたりしながら改善しようとさらに演技プランを磨き、永遠の芝居くさい演技のループに入ってしまうのです。

必要なのは「演技プラン」ではなく、役の欲求や衝動となる目的を見つけ、シーンの中で純粋にそこに向かうことです。
そして、実際に行動することで感情は自然と湧き出てくるようになるのです。


また、目的達成の障害があることで、相手との対話の中で、相手の態度や行動や仕草や台詞から様々なことが自然に反応していけるようになるでしょう。

その心と体をつくるために、リラクゼーショントレーングや、センソリー、感情解放、脚本分析、などなどが必要になるのです。
そうなんです、その方法論と体現方法を知らなかっただけの原因が高いのです。

まとめ

舞台の演技に先入観がある方は、舞台の演技そのものが芝居くさいと思っていたりしますが、身振り手振りが大げさな演技が必ずしも芝居くさい・嘘くさい演技というわけではありません。

その大きな身振りや手振りに必然的なモノや心の衝動や欲求が追いついていれば大げさではないのです。

また、キャラクターを作り上げたとしても、そこにリアリティがない場合、嘘くさくなったりします。
考えられた役やキャラクターがコントロールされ過ぎていて「細かい演技プランを続行中」だったり「相手を無視した対話のない演技」だったりすると、せっかく生み出したキャラクターは「今、そこに居ない」状態になります。

参考までに言いますと、Amazonプライムドラマ、香取慎吾さん主演、三谷幸喜作品「誰かが、見ている」をご覧になれば分かると思います。

嘘くさい演技は往々にして「コメディ」だと俳優が認識して「コメディの演技ってこうだろう」と考えた演技をした時に、起こりやすいかも知れません。一生懸命に面白く見せようと「考えて」演技していると感じられます。
もちろん、このドラマが悪いと言っているわけではありません。
芝居くさい・嘘くさい演技かどうかを問うているだけです。

チャップリンのコメディの面白さは、面白くしようとしているわけではなく、一生懸命生きており、今その瞬間に生き、トラブルを回避しようとしているからです。

監督や演出家の希望する世界によりますが、
基本的には、芝居くさい・嘘くさい演技を求めていないと思います。
リアリティをもたらすことは、その世界で生きる俳優にかかっていてるということですね。
どんなに面白い脚本を脚本家が書こうとも、俳優が「今を生きて、相手と対話」していない限り、失敗すると言っても過言ではありません。

その「今を生きる」方法を知らなかっり、勉強する機会のなかった俳優も多いでしょう。
ぜひ演技トレーニングをして掴んでいきましょう。

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最後に

ここまで読み進めてくださり、ありがとうございます。

もし、記事を読み終えて「頭ではわかったけれど、自分の場合はどうなんだろう?」と少しでも感じていらしたら、一度私と話をしてみませんか。

演技の技術、表現の壁、あるいは日常のコミュニケーション。 一人で考え込むよりも、対話(セッション)を通じて今の感覚を言葉にしてみることで、驚くほど道が開けることがあります。

月に10名様という限られた枠ではありますが、あなたとお話しできるのを心から楽しみにしています。