こんにちは、演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、久しぶりに俳優業を再開する方などに役立ててもらえたらと考えています。
私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」
さて、今回は演技の種類について説明しておきたいと思います。
私のクラスやレッスンにおいて、最初に必ず伝えています。

演技は大きく分けて2種類あると言われています。
何と、何だと思いますか?

舞台と映像ですか?

舞台と映像で演技のアプローチに大きな違いはありません。
※こちらの記事を参考ください

静と・・・動?
などなど様々な憶測が出てきます。
そして、私はこう答えます。

「見せる演技」と「体験する演技」です。
さて、私のレッスンでやるのはどちらでしょうか?

見せる演技?

違います、「体験する演技」です。
今、初めて、体験したかのように今を生きる演技です。
多くの方は「・・・そうなんだ」となったりします。
これが世界で求められている演技ベースです、と伝えると「・・・ほう」となっています。
時間がない日本のドラマの現場では「見せる演技」でさっさと終わらせたいような、終わらせているような場合も多いにあります、とお伝えする場合もあります。
そして、こう助言します。

監督が「見せる演技」を求めても、俳優は捉え直し、「体験する演技」に変換する力が必要であることも伝えています。
私はそれを「俳優脳」で考え直すという言い方をしています。
「見せる演技」ってどんな演技?

「見せる演技」と聞いて、それって大事じゃないの?って思った方もいるかと思います。
どんな演技かと言いますと、こういうことです。
説明する演技、または、説明的な演技。
私はこう思っています、こう考えています、といったことをカメラの向こう側や監督に分からせる演技のことを言います。

それのどこが悪いのでしょうか?

別に悪いわけではありません。
ただし芝居くさいですよ、嘘くさいですよ、不自然ですよ、
といったことになるだけです。
また言い方を変えると、アピールの演技とも言います。
役が相手に「こう思われたい」として行動しているのではなく、俳優が監督や視聴者に「こういう風に見て」とアピールしているような演技のことです。
ちなみに、「体験の演技」俳優は、結果的にそう見えている状態を作り出します。意図的に形では見せることはありません。
見せる演技(アピールの演技・説明の演技)の参考
Netflixドラマ「忍びの一家」の1話目
スーパーでの母親の万引きシーンを見れば分かると思います。
「私これから万引きしますよ」と周りにアピールして万引きをしているところです。
リアリティもなく、とても嘘くさく、アピールした演技だと言えるでしょう。
お客さんも店員も、怪しくてすぐに分かってしまうレベルの万引きなのですから。
誰も気が付かない方がおかしいですよね、と思われるシーンになっています。
※否定しているわけではなく全体は面白い作品ですが、一部演技を抜き出して指摘しているまでです。
「体験する演技」ってどんな演技?

今、初めて、体験したかのように今を生きる演技です。
そう、「今を生きる演技」です。
スタニスラフスキーシステムから始まり、自然な演技、嘘くさくない演技、強烈に訴えかける演技、それらを追求してきて、様々な演技ツールがここに向かって派生し、そして今も枝分かれしていると言っても過言ではありません。
大事なのは、「体験する演技」に向かっているということ。
これは、独学では難しいものです。
ぜひ、どこからの演技教室や演技学校などで学んでいくことをお勧めします。
私が出会う人の多くは、「知らなかっただけ」なのです。
或いは「聞いたことがあったけど実際にどうしたらいいか分からなかっただけ」なのです。
※体験する演技が見える映画は下記の記事を参照ください。
私は、色々な演技ツールを混ぜながら演技トレーニングから現場で培ったものを採用しながら、メソッドを進化させています。
演技の種類にもう1種類追加すると「イメージの演技」があります

「イメージの演技」が実は最もやっかいで、これを正と思い、これを「体験する演技」と思ってしまっている人もいるくらいです。
「イメージの演技」とは、台本を読んで、イメージした演技を、舞台上でカメラ前で演じる演技です。
これがダメというわけではありません、これを良しとする監督や演出家がいるわけです。
「体験の演技」と「イメージの演技」と違うところは、「イメージの演技」は100%自分で行動や思おうとすることをコントロールしているということです。
イメージをなぞっているわけですので、そこにリアリティが失われた演技なのです。
それはつまり、「見せる演技」と同様、自然な対話や自然な欲求からの行動ではないということ。自分を意識し続けた演技は、自分にしか向いていません。対話ができていない状態。
それはとても自己中心的であり自意識が強い状態。自然な演技の真逆に位置します。
舞台の世界では、様々な演技バリエーションがあります

舞台では、「体験する演技」「見せる演技」「イメージの演技」様々。
そんな垣根を超えて、唐組が求める演技、文学座が求める演技、俳優座が求める演技、劇団キャラメルボックスが求める演技、劇団新感線が求める演技、劇団ク・ナウカが求める演技、劇団SPACが求める演技・・・・無限です。
天井桟敷なんて、もはや「なんなの?」レベルぐらいに幅が広い。
その劇団が好きでそこに挑戦して、舞台芸術の中で咲いていく選択もあります。
その劇団が好きだから、そこでだけ演技をするということも可能です。
しかしながら、俳優は劇団から劇団へ、または違う演出家のもとへ旅を続けることになります。
そこで様々な演技の種類の壁に出会うことになります。
そして、映像(テレビや映画)に出演する機会が出てくることもあるでしょう。
個性と言ってやり過ごせる場合もあれば、「全然ダメ芝居くさい」「舞台っぽい」と言われ使われなくなるケースもあるでしょう。
そうなんです、「体験する演技」のベースを学ぶことなく突き進んできた結果、苦労しているのです。そう、知らないだけなんです。
まとめ

スタニスラフスキーシステム、メソッドアクティング、ステラ・アドラーテクニック、マイケル・チェーホフテクニック、サンフォード・マイズナーメソッド、ベラシステム、イヴァナ・チャバック演技術、などなど
様々な演技ツールが世界にあります。
そこでトレーニングした俳優たちは、同系列で演技コーチをしたり、さらに独自に進化させ新しい演技教室を開いています。
バレエの基本の5番のように、はっきりと誰でも共通した5番は演技にはありません。
それぞれ5番っぽいもの、1番に該当するもの、など様々です。
だから難しいのですが、どこかにあなたが「今を生きる演技」「体験する演技」をするうえでピタっとハマる演技が存在するでしょう。
これらは独学だけでは難しい領域です。
また日本ではどこかで演技は感覚でやるものだから教わらずに自分の感覚を信じるんだ、と思っている方も一定数います。
或いは特殊な演劇界の狭い中で求められる「笑いの演技」「怒りの演技」のようなその劇団周辺だけ該当する演技術を持ってベテランになっている人もいます。
そう、知らないだけなんです。
「体験の演技」そのものを。
また「体験の演技」のやり方を。
学べば、きっと「体験する演技」ができるのです。
また、自分が劇団や独学で学んだものと合わせてもっと素晴らしい演技が生まれる可能性すらあるかもしれません。
無知を恐れず、どうか学ぶ姿勢で、「体験の演技」に挑戦してほしいと思っています。






























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