演技が素晴らしい俳優は想像力も豊か?俳優に想像力が必要な4つの理由!

演技が素晴らしい俳優は想像力も豊か?俳優に想像力が必要な4つの理由!

こんにちは、演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、久しぶりに俳優業を再開する方などに役立ててもらえたらと考えています。

私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」

さて、今回は俳優と想像力についてのお話です。
俳優にとって重要な要素のひとつに、想像力の豊かさがあります。
フィクションの世界ですから、想像の世界に生きるのは当たり前ですよね。

当然ながら、ノンフィクションをもとにしたドラマであったとしても同じです。撮影という次元に持っていくということは創作になります。
創作された世界で生きるためには、その世界を信じる力が必要なのは想像に難くありません。
自分ひとりの経験だけでは様々な役や物語に対処できません、だからこそ想像の力を借りるのです。例えば、殺人者の役をするにあたって、その経験の経緯を想像できるように。

つまり、俳優には想像力が必要なのです。
そして、想像力が全身に溢れるよう自分に刺激していく力を養う必要があります

もっと言えば、想像の刺激で、今を体験しながら、それを体現できるような心と体のトレーニングが必要なのです

俳優が想像力を広げるには材料がいる

想像する、というと何となく、夢の世界やおとぎ話の世界ように創作していくようなイメージを持っていると思います。
想像力を養っていくには、その材料が必要なのです。
無から何かを想像するのは基本的にできません。

しかし、多くの俳優や俳優志望の生徒を見てきた中で感じているのは、何となく想像できればいい、といった感覚で捉えており、勉強そのものを怠っていることだったりします。

小説や、ノンフィクション伝記、映画、ドラマ、また絵画やさまざまなアート鑑賞、ライブ、また他人の意見に耳を傾けることまで幅広く材料があります。

何があたたの想像力に火をつけるか分からないという事実を受け入れ、燃料を蓄えていくつもりで興味を持っていきましょう。

俳優だからと言って、映画やドラマ、演劇ばかりではなく、本を読むことは重要です。
活字がもたらす想像力の世界は、瞬時に違う次元へとあたなを連れていってくれることもあります。時間を忘れ読むこともあるでしょう。そういった体験の蓄積後、何が自分にとって良かったのか、嫌だったのか、など反芻してみることも重要です。

気をつけていただきたいのは、考えながら見る、考えながら読む、といった行為はできるだけ避けて欲しいというところ。

思考は、あなたの感受性を邪魔します。
考えるタイミングは読後であって読中ではありません。
正解を考えたり、余計な思考をめぐらすと、結局想像の世界から瞬時に出て行ってしまいますので、まずはどっぷりその世界に浸かる体験を繰り返してください。その体験の蓄積こそが重要なのです。

俳優の想像力を養う博物館や美術館

絵画の原画やアート作品などに触れて(観て)、思考を取り除きながら、絵から感じるものを楽しむのも大切です。
アート思考など近年は言われていますが、思考からできるだけ離れて、正解を求めず受信する力を磨きたいところ。
日常から自制心を働かせるような余計なフィルターを通さないで鑑賞できれば幸いです。鑑賞しながら自然に湧いてでてきた発想や疑問はアートに投げかけながら発見していけるとその世界へどっぷりと浸っていられます。
ぜひ、さまざまな作品と直接交流してみてください。
※できれば画像ではなく、本物を目の前にして欲しいところです。
よろしければこちらの美術館の展示情報のサイトなどご活用ください。

相手のことをジャッジしないこと、偏見を置いておくこと

その世界に生きることが、役を生きることに直接的にも間接的にもつながっていきます。
想像力のもう一つ重要な役割は、相手を理解することに役立つということ。

人間理解が俳優の大きな命題ではありますが、その手がかかりとなるのが、相手への想像力
例えば、妻を殴った男のことをDV男というレッテルを貼り、嫌悪感をあなたが持ったとして、それ以上情状酌量の余地なしと判断したとしたら、そのDV男の他の一面を見ることを拒否するでしょう。(DV男を肯定しているわけではありません)

俳優は、人をジャッジしては人のことを理解できませんので、ジャッジしないことが大事です。

例えば「なぜそうしたのか」「その直前に何があったのか」「初めてのことなのか」といった想像力が必要。

そして、妻を殴ったDV男として見るのではなく、妻を殴ったことがある男、という捉え方があたなの想像力を伸ばすのです。「こいつは酷い奴だ」とジャッジしてしまったら、役としても想像力を奪ってしまいます。

あなたが好き嫌いに関わらず、その人物を理解していくことが人間理解を紐解くのです。
※DVという例えで不快な思いをさせてしまった方々、申し訳ありません。例えでございますので、どうかご了承ください。

想像することで相手の痛みを理解したり共感する

私たちは意見が違っただけで、もういい、とついつい相手を遠ざけたり、自ら遠ざかったりしまいがち。ましてやSNS時代の中では、アルゴリズムで自分の意見や趣味趣向が近いものばかりが自分の周りに集まってきて、情報が偏ってしまいがちな世界。
そうなると、違う意見の人や反対意見のことは「悪」のように思ってみたり、攻撃的になったりしてしまいます。

右翼・左翼、政治の右と左、二項対立が多く存在していますが、恐らくその渦中では「あいつは全然分かっていない」とお互いに思っている可能性が大いにあります。

相手が何を思ってそう言っているのか、事実から受け取り、その気持ちを想像していくことこそが人間理解に向けての想像です。

難しいですが、戦争犯罪者として名高いヒトラーでさえ、その行動の原因を見つけていくことは人間理解につながります。ヒトラーとガンジーが真逆の人間に見えても、共通項を発見するかもしれません。
自分とは真反対の人がいても、ある一面に過ぎない可能性と捉え、相手の行動の原因や感じてることを想像していくことで人間理解が広がります。その結果、世界分断は小さくもなりますし、俳優ならば役を掴みやすくします。

映画「シンドラーのリスト」の冷徹なナチスの将校を演じた、レイフ・ファインズは「人を虫けらのように殺すということがどういうことか想像したんだ」と言っていたそうです。冷徹だと決めつけて嫌悪感を持っていたらきっと役の視点には立てなかったでしょう。
役の視点に立てたからこそ、視聴者はその悪しきを知るに至るのです。

メソッド演技の五感の記憶と繋がる

想像は材料がいるとお伝えしましたが、想像の世界でドキマギした体験の蓄積が自分の五感を刺激するものとなり得ます。
実体験は当然ですが、想像の中で体験したことも、心と体は体験したように蓄積させる力があるのです。
メソッドアクティングのトレーニングのひとつに「五感の記憶」というのがありますが、想像力がその五感の記憶を目覚めさせたり、刺激することが多いにあることを覚えておいてください。心と体は密接な関係にありますが、心と想像力もまた密接な関係にあります。

例えば、梅干しやレモンの輪切りなどを想像してもらうと口の中から唾液が出てくると思います。酸っぱさがに対して体が覚えており、実際に目の前になくとも想像の刺激によって、体に変化(唾液の分泌)が起こるのです。

その他、爪の間に針を差し込む想像をすると顔が歪んだり、妊娠したと想像体験すると生理が止まったりと、実際に人の体は想像の刺激によって体が想像と本物と区別なく反応したりするのです。ただ体験だけの記憶を使うのでメソッドアクティングは危険だと認識されている人もいるかもしれませんが、想像の体験を使用することも可能な一例です。
人間って凄いですよね。

子どものころのごっこを真剣にする

あなたの想像力が1番豊かだった時代はいつでしょうか?
恐らく子ども時代なのではないでしょうか。

もしも、私にそんな時代はないといった厳しい抑圧下で生活していた子ども時代でしたら、想像力を奪われた体験が大きいかもしれません。しかしながら、その水面下で想像はしていたはずです、ぜひ思い出してみてください。

子どもの頃の遊びの想像の世界は、子どもにとっては本気の世界で、その想像世界から抜けて出ていく大人や友達に大きな失望感を感じたのではないでしょうか?それほど、その世界の中で生きることに夢中だったのです。

その想像の世界の中では、安心して感情を出したり、戦ったり、愛したりしていたのです。
その想像力の材料はアニメや漫画、絵本、大人との会話などでしょう。

そういった感覚から大人の俳優は取り戻す必要がトレーニングで必要だったりするのです。想像の世界で自由でいられることを多くの大人は忘れてしまっています。

まとめ

俳優にとって想像力が必要なことは、当然のことと多くの方が認識しています。
しかしながら、想像には材料が必要であることの認識は薄いといっても過言ではありません。

  1. 想像するには小説や伝記、映画、ドラマ、絵画など作品に触れる
  2. 相手のことを偏見ではなく、行動からいろいろな一面を想像する
  3. 想像の刺激により五感を刺激してゆき体験に変える
  4. その世界にどっぷりと浸る

上記の4つのことが想像が必要な理由です。

どうでしょうか?想像力が必要な理由が分かってくれば勉強の仕方も変わってきますね。
私としては、人間理解への大事なツールとして②を特に大切にしています。
一面だけで人を判断しないこと、これって意外とやってしまうんです。

人は見た目が9割」のような本がベストセラーとなって読まれてしまう時代にあって、SNS時代にあって、もっとも奪われてしまいかねない認識が、「ひとりの人に多面があるんですよ」ということだったりするのではないでしょうか。

また、こう想像してみてください。

ありとさん

誰かがあなたの役を演じるとした時に、その役者があなたという役に対して
「神経質で、掃除ばかりする人」
と一言でまとめられたらどんな気分でしょうか?

生徒さん

え、私のこと分かってない!

ありとさん

「神経質な一面があって、何かあったら整理整頓をしっかりとする人」
と想像された方がしっくりきませんか?
また俳優であれば、そう考えて方がさらに想像力が広がりませんか?

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