こんにちは、演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、久しぶりに俳優業を再開する方などに役立ててもらえたらと考えています。
私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」
今回は、お問い合わせが多かったエキストラのお仕事について。
これって、なかなか厳しい質問ですね。
我慢しなさいとは言い難いところですが、俳優のモチベーションを維持するために自分からスタンスや対応を変えていって欲しいと思っています。
今回は私の20代前半の経験も踏まえてお答えしたいと思います。
私からの答えとしては、エキストラでひどい扱いを受けたとしても、相手を変えることができない状況下なら、それは・・・

それはあたな次第ですよ
あなたのモチベーションとスタンスが、現場の空気を変えるのは事実です。

もしも萎縮してしまうなら?

しかし、 「頭では理解しているのに、萎縮してしまい態度に出せない」「緊張で呼吸が浅くなり、スタッフと目を見て話せない」 という心の壁はありませんか?
その心のブロックこそが、 「ひどい扱い」 を生み出す原因の一つかもしれません。
現場で尊厳を持って俳優としていられる最初のステップとして、まずは30秒であなたの「心のロック度」をチェックしてみることをおすすめします。
なぜなら、その自覚・認識があなたの行動を変えるきっかけになるからです。
エキストラの扱いってひどいのでしょうか?

これは、はっきり言って千差万別です。
人間ですから、と言ってまとめていいのか分かりませんが、事実そうなんです。
ただ、俳優を志す全ての人に知っておいて欲しいのは、エキストラが入るのはスタッフさんが撮影前までに準備してきた時間の中でいうと、最後のちょっとした部分なんです。
もちろん、その後、編集作業(ポストプロダクション)などがありますが、エキストラのあなたは、撮影の準備まで多大な時間を費やしてできた土台(プリプロダクション)が出来上がったあと、つまりお膳立てが整った後に、ひょっこり事情も知らずに(苦労を知らずに)やってくる立場だということを認識しておいて欲しいところです。
そのお膳立てされた土台の上に立つのがメインの俳優たちで、さらにその土台の際(きわ)に立つのがエキストラといったバランスです。
メインの俳優たちには監督やプロデューサー以外は立場的にそんなに文句を言えません(基本的には)、言えるとしたら立場が弱い人になってきます。
準備の苦労も知らず、ひょっこり現れたエキストラたちに挨拶がなかったら?あるいは常識外れの態度があったら?タメ口だったら?無関心な様子だったら?
スタッフと言えども、冷たくなってしまう可能性もあります。
また虫の居所が悪いと、立場が弱いエキストラに対して、態度が悪い人もいるかもしれません。
素晴らしいスタッフもいるでしょうし、逆にそうでない方もいる可能性があることは、どこだって同じですが、その事情も知っておくべきでしょう。
エキストラと助監督(AD)との関係

現場の数だけ、助監督(AD)がいて、現場の雰囲気は色々と違っています。
その人の志や監督との関係やモチベーション次第だったり、またその事務所がどのように仕事を取ってきたか、局や制作会社との力関係(力関係)などによっても変わってくるのではないでしょうか。
日本の俳優、とりわけエキストラには、海外のように人権や労働組合によってエキストラという仕事が守られていないといった実情もあります。
助監でも、ファースト、セカンド、サードと階級のようなものがあり、その上下関係も影響する場合があるでしょう。
助監の仕事のひとつにエキストラの演技を指示するというのがあります。演技(シーンの中での役割や場所や移動のタイングの指示など)を指示するのがファーストの助監だとしたら、待機場所や控え室に迎えに行ったりするのがセカンドやサードの助監だったりします。
あたなが最初に接するのは、いわゆる下っ端の助監です。
助監と一口に言ってもアルバイトやフリーランスだったり様々な雇用形態の中、いろんな局や制作会社に雇われて色々な現場に行っているのですから、見てきたり学んだ内容によって行動や態度は変わってしまうでしょう。
連ドラなどは寝る時間を惜しんでスタッフさんは仕事をしています。助監さんは家に帰れていないのは当たり前、その苦労も知らずに・・・と思うことだってあるでしょう。
ここでも言えることは、やはりあなた次第です。
あなたが積極的に名前を覚えて関われば関係は変わってくると思いませんか?
相手を変えようとしても変わりません、その状況を受け入れながら、あたなが変化していく必要があるのです。例えば、労う言葉ひとつで変化がある可能性もあります。ぜひ、試してみてください。
相手を変えることは基本的にはできません。
あなたが行動を変えるのです。
その「積極的な行動」は、自信と心の余裕があって初めて実行できます。
その余裕を生む土台こそが、「緊張を現場で緩めていくこと」に他なりません。
もし、あなたが「わかっているのに実行できない」という壁にぶつかっているなら、あなたの態度を阻害する緊張を解放することや演技の土台を固める演技メソッドが役立つ可能性が大いにあります。
エキストラの扱いがひどいと思った時①

私の経験で言えば、20代最初の頃、衣装さんの態度には参りました。
衣装は、お借りしたときと全く同じように畳んで揃えて返さないと「ちゃんとしてよ!」と怒られてしまうのです。
もちろん、ちゃんと整えてるにも関わらず、ちょっとした違いでブツクサ言ってくる理不尽な様子がありました。
ところが、私が認められてくると態度がコロッと変わった経緯があります。
もしかしたら過去に衣装を汚されたりして、大変な目にあった経緯がその衣装さんにあったのかもしれません。
また毎日変わるエキストラの人たちにいちいち指導するのが面倒なのでエキストラを抑圧して従わせるといった行動が染み付いた可能性もあります。
また、単に日常的に良くないことがあって気分が優れなかった可能性もあります。
考えたらキリがありませんが、私たちはこう考える必要があります。
スタッフさんも日々大変な仕事をしている人間なのだ、と。
スタッフではなく人間なんだと。
本当は衣装さんにいつも気分が悪い理由を聞いてみたかったのですが、態度が変わってからも、その関係が崩れそうで聞けませんでした。
その後、私に見せてくれた笑顔は悪い人には見えませんでしたが、態度が悪かった時は、きっと私のことを見下していたんだろうなと思って居ます。
衣装さんが私を見下すような経緯は、きっとあるのでしょう。その人の責任ではないかも知れません。大事なのは本人を責めてもしょうがなく、私が変化して態度が変わったということです。
エキストラの扱いがひどかったと思った時②

経験上、ひどいなと感じたのは、「待ち時間」です。
スタジオの場合はまだ楽屋があるから良いのですが、ロケの場合は屋根もないところで、夏の日照りの中で長時間待ったこともあります。正直、過酷であるし、人権無視を感じるレベルだったように覚えています。
基本的に、とりあえず仕事が欲しい事務所は、エキストラだとしても「お願いします!」と売り込んでいたり、「価格を抑えますので」などの売り込みで仕事を取ってきていたりします。
当然、立場が弱いことは想像に難くないでしょう。
暑い日も寒い日も、12時間外で待機したなんてこともあります。
撮影はメインキャストと場所を中心に撮影順番が決まります。早朝にエキストラ出演のシーンがあり、お昼過ぎにもあり、夜のシーンもある場合、そのまま1日中拘束され、空き時間はロケ地だけに自由がきかず近くで待機なんてことはザラ。
特に厳しかったのは、真夏の灼熱の中、新番組で秋放送のため、秋物の服を来て外で待機し続けたときのこと。
真夏に長袖、顔は日に焼け、汗はかきまくり、気力もなにもなくなっていきそうなところでした。
この場合は集中力維持のため、近くのお店やクーラーのある場所、また日陰などに移動することを交渉したり、マネージャーや事務所の方と相談して、空き時間の使い方を交渉した方が良いでしょう。
呼ばれたら、すぐに戻ってくれることを前提として。
タレント事務所や俳優養成所の多くはエキストラ事務所?

上記でもお伝えしましたが、多くの事務所はエキストラを何とか仕事として取ってきて、顔を繋ぎ、次の仕事に繋げたいと思っています。
ですので、エキストラ専門事務所として登録制のアルバイトの事務所でない限り、現状打破したい事務所だと思って欲しいところ。成功してくれればくれるほど、会社としても助かるからです。
あなたが、事務所のスタッフとコミュニーションをして、エキストラだとしても本気で仕事をしていくことで、環境は変化していくでしょう。
ここで大事なことを言っておきます。

助監さんは未来の監督です。
あるいは既に監督かもしれません。
そんな中で、監督や助監の名前を覚え、交流をしていくことで「あなた自身が未来を変えていける可能性がある」のです。
私が指導している事務所でも、エキストラの仕事をしていながらも、顔を覚えてもらい、再現Vなどで台詞をもらったり、台詞がない役でも台詞をもらったりとしていってるケースがあります。お互いが知り合うことで変化するのです。
私の過去の経験も記事にしていますので、参考にしてください。
見ている人は見ています。
悪いエキストラを見て感じてみよう
いい演技を見ることも大事ですが、悪い演技も見るととても勉強になります。
エキストラもしかりです。
例えば、Netflixドラマで人気の「シティーハンター」の開始1秒の駅のシーン。
左右に行き交うのは全てエキストラです。映画は面白いので本編を全部観て欲しいですが、エキストラの勉強としては最初の5秒だけ観れば十分です。
【観て欲しいところ、開始1秒〜5秒】
左から右へ電話をしながら通過する人、電話していません、形だけでやっています。
右から左へ通過する女性がいますが、大きなあくびのように口をあけて通過します。
口を開ける女性はカメラがあるから何か痕跡を残そうとしているようにすら感じられます。
そこにあくびのリアルさ、口を開けた理由、がないのです。
一瞬だから気が付かないと思うかも知れませんが、その違和感はリアリティを一気に失ってしまう原因になりかねません。
漫画原作だからコメディだからと、言っても、この通過シーンに「漫画原作だしコメディ要素あるから」といったビジョンで撮影するとは思えません。
歩く順番を制御するだけできっと助監は大変だったと思います。
とすると段取りを決められた後の俳優の力量にかかってくるということです。
演技トレーニングを受けた俳優のシーンへのトライと、エキストラだから、といった気持ちで挑んできた人と、シーンの密度や解像度は全然変わってくるのです。
だからこそ、エキストラだったとしても、とても大事や役割であることを認識して準備して欲しいところ。
※私は、ドラマを批判しているわけではなく、あくまで感じたことを主観で語っています。
映画は楽しく拝見しています。
エキストラと言えども、俳優としての権利があります

当日台本というのをご存知でしょうか?
当日撮影予定部分を台本から印刷したものです。その台本には、カット割から香盤表までまとめられたー冊となっています。
エキストラと言えども撮影の順番や準備が必要です。
当日の参加者は基本的にはもらってください。
事務所の方が付き添いで来ていれば、もらってくるように交渉してください。
グループで来ていれば、そのグループの代表者が助監と話して一部確保してください。
その時点で、参加意識は違ってきますし、俳優としてどのシーンを撮影する際にエキストラが必要なのか読み込むことができるからです。
現場でよく見たのは、台本も知らず、持っておらず、なぜかそこに来ている人たち。
いわゆる「言われたから来た」という人たちです。
あなたが、準備を重ねてきたスタッフなら、そんな人たちを見て気持ちいいですか?
想像してください。
まとめ

他の記事でもお伝えした格言です。

どうでもいい役はない。
ただどうでもいい俳優がいるだけだ。
俳優の準備や心持ち次第なのです。
やってみてNGが出れば、やめればいいのです。
あなたのエキストラの中の役が、きっとこうするだろうと役を生きてシーンに良い効果を生めば、それはカメラマンや監督にすぐ伝わります。
カメラはそれ自身で物語を作ってしまいます。
だからこそカメラマンはそのシーンの嘘がよく見えているのです。
カメラマンの方に厳しい人が多い(当社比)のはそのためかと思ってしまいます。
最後に私から一言。

どうでもいい俳優ではなく、そこに必要な俳優たれ!
「必要な俳優」となるために、まず必要なのは 「あなた自身が、演技の土台を理解し、現場で心理的安全性を自身に当てる方法」 を手にすることです。
あなたの心の底にある緊張という壁を小さくし、現場で必要な存在となるための第一歩を今、踏み出しましょう。
こちらの記事もご参考ください。
↓ ↓ ↓






























エキストラのお仕事って、扱いがひどいです。
どうしたらいいでしょうか?