普段は学校や芸能プロダクション、養成所などなどあちこちで演技講師・演技トレーナーをしておりますが、3月は2回ほど臨時で演技ワークショップ(以下WS)を開催しました。3月は演技講師をしている場所の一部(学校)が春休みに入るため少し時間を調整できたからです。そのため、「演技トレーニングしたい人がいたら、WSやるかもしれません」とSNSでメッセージを書いていたところ、手を挙げたメンバーがいましたので、私も嬉しく思いWSを開催した次第です。長い付き合いの方もいて、常々そんな繋がりに感謝!ありがとうございました。
さてWSの中身ですが、前回のblogで記載したように、演技の基礎中の基礎である「リラクゼーショントレーニング」を前半しっかり時間を使って調整し、続いての1時間は体を開いていくトレーニングをしました。総じて、声と体と呼吸を繋げていくWSとしました。
最初にお伝えしておきますが、今回はリラクゼーショントレーニングの方法について少しお伝えした記事になります。
演技の基礎がリラックスであることは分かったけど、どうやってそれを演技レッスンにするのか?

言葉にしてやり方を説明するのは非常に難しいところがあります。
まず「リラックス」という意味においての認識を合わせておきたいところ。お風呂に入ったり、テレビを見ながらお酒を飲むぼんやりと過ごすリラックスとは違って、演技のリラックスはアスリートのリラックスに近いです。意識が覚醒した中で、余分な緊張を置いて最高のパフォーマンスを出すためのリラックス。さらに俳優は、そこに感じたことをパンチやキックやシュート、クロールではなく、余分な力を取り除いて声に乗せていくことが俳優のリラックスです。
それを追求するために、声を出しながら体を緩めるというのが「リラクゼーショントレーニング」となります。
リラクゼーショントレーニングのやり方とは?

言葉で説明するのは難しいですが、記録しておきます。
演技レッスンをしたい方は、この基礎をぜひ、ご自宅で試してみてください。
体を緩めがら声を出していく、そんなトレーニングになります。最初は椅子に座ってやるのが望ましい。椅子は背もたれのあるものが良いですが、どうして背もたれのある椅子がない状況で、丸椅子などしかない場合は、壁の近くに椅子を置いて壁を背もたれのように使用します。
- 浅く腰掛け、片足を前に出して、片足を少し体の方へ引いて座ります。
- 背もたれに体重を預けて、重力に逆らわないようにしながら両手をぶらんっと下に垂らして力を抜いていきます。ちょうど重力が下に向かっているように、体重が下にストンっと落ちていくような感覚です。
- 顎を少し上げて、深呼吸をしていきます。目を開けても閉じてもどちらでもいいですが、最初は集中するため目を閉じることをお勧めします。
- 深呼吸をしながら、呼吸を吐く時に「はぁ〜〜〜〜」と声に出していきます。
- ④をしながら、首、腕、足をゆっくりと回しながらやっていきます。この時、頭で考えずに、体を動かしながら感じたままに「はぁ〜」という言葉に乗せていくようにします。つまり、素敵な声が出なくも問題ありません。考えずに、感じたままの声、というのが大切です。
演技トレーナーのもとで、実際にやっていくことがいいのは間違いないですが、まずは試してみましょう。
演技レッスンで。自宅でできるものはありますか?

声が出せれば上記のリラクゼーショントレーニングから初めて欲しいところですが、実際なかなか自宅では声を出せないという方も多いのではないでしょうか。
その場合は、声に出さなくても、うめき声のような状態でも結構ですので試してみてください。
深呼吸でも構いません。まずは、呼吸を吐き出すことを大切にしたいところです。
演技レッスンで、筋トレや柔軟をすることは有効か?

はっきり言ってしまえば筋トレは重要ではありません。
多くの俳優は、または人前に出たい人というのは、心にたくさんの傷を持っていたり、見返したいと思っていたり、何かに打ち勝ちたいかのような衝動を持っています。
プロテインを飲んで無酸素に近いように力任せに筋トレしてパンプアップしていくことは、多くの柔軟性を奪っていくでしょう。
ただ闇雲に筋肉をつけるトレーニングは、いわゆる防御としての鎧をつけることに等しいと感じています。つけるべき筋肉はインナーマッスルです。外側の鎧ではなく、有酸素運動で得られる体の芯となる筋肉です。柔軟と一緒ですが、呼吸を大切にしながらやれば「リラクゼーショントレーニング」に通じるものとして有効です。
柔軟で体を折り曲げる時に、「はぁ〜」と息を吐き、体が広がる時に吸う、この一連の柔軟のアクションを呼吸と合わせてやっていくことで、呼吸と声と体のバランスが整っていきます。もうお分かりかと思いますが、体に良いことですよね。
※柔軟について下記リンクをご参照ください。
自分という楽器の調律

なぜリラクゼーショントレーニングをするかと言うと、錆びついた自分という楽器を調律するためです。
例えるなら自分のこと管楽器と思ってください。トランペットやトロンボーン、サックス、などなどですね。管楽器は空気を通して楽器を温め、押した部分や呼吸によって音色が変化していきます。つまり人間の体に例えると、空気を通すのが呼吸、押した部分は動いた体の変化や心の変化、呼吸はその体や心の動きによって変化した音と言えるのです。
正にあなたは管楽器なのです。
日常、怒られたくない、嫌われたくない、怖がったところは見せたくない、怒ったところは見せたくない、などなど色々と自分を押さえているとき、日本語の文字通り「息が詰まって」います。その詰まったものを、取り除きリラクゼーショントレーニングで空気を体に通しながら調律していくのです。
演技レッスンって台詞を言ったりするものではないのか?

台詞を使ってレッスンするのは、演技の基礎をした上でもっともっと先のお話です。台詞の覚え方のような注意事項もあったり、脚本分析の方法も知れば知るほど役への理解も深まります。それはまた別レッスンが必要ですが、最初にしてしまうと心体の解放がない中でやっても難しいものがあると思います。
相手の台詞を聴く、ということそれを受け入れるということと、それを返す、という一連の自然な流れをしていくためにはレペテションというトレーニングが有効ですが、これも時間をかけて何度も何度もしていく必要があります。
我々は、日常から人のお話を聴けていないのではないか、と思うことも多々ある中で、台詞を言うことや段取りが多い中で、実践するのはかなりハードルの高いことですよね。ですので、演技が初めての人や経験の少ない方を対象にしていきなり台詞を使ったレッスンをする講師がいたら、ちょっと気をつけた方が良いかも知れません(※プロの演技トレーナーが語る、こんな養成所はNGかもを見分ける5つの要素!)。そういう脚本に挑戦するクラスと銘打っているのであれば問題ないと思います。また、台詞を言うことで楽しい時間を過ごすのは、それはそれで良いと思っていますが・・・。
まとめ

今回はガチで演技トレーニングするバージョンで演技WSを開催しました。通常一般に向けたWSでは、上記のようなリラクゼーションはしません。志やプロ意識を持った方向けのトレーニングとしています。なぜなら、草サッカーをしたいのに、いきなりアスリートのトレーニングをしたりしませんよね?
演技を体験してみたい、初めてですって方に、いきなりアスリートのトレーニングを私は提供しません。もっと親しみやすいものから始めていきます。呼吸が大切であることを体験していきながら、気がつけばリラックスしていた、なんてことに向けたことをします。
リラックスが重要ですが、リラックスするためにもしっかりとトレーニングやそれに向かうための方法があるのです。ぜひ、挑戦してもらえたら幸いです。
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