わざとらしいオーバーリアクションな演技、結果を演じるとそうなる件

わざとらしいオーバーリアクションな演技、結果を演じるとそうなる件

こんにちは、アクティングコーチ・演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、久しぶりに俳優業を再開する方などに役立ててもらえたらと考えています。

私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」

さて、今回はト書き、そして監督や演出のリクエストに関しての応え方について。
たとえば、短いシーンのト書きにこう書かれていたらどう対応しますか?

アリトさん

 Bの試着室から出てくる
 A、ドレス姿を見て笑顔になる

B「何その顔〜」

 B、試着室のカーテンを閉じる

そして、あなたなりに笑顔をしてやってみた。
しかし、監督は納得していません。

次に監督からこう言われたらどうしますか?

監督

もっと笑顔になれる?

あなたはどのように応えるでしょうか?
もっと大きな笑顔を作るでしょうか?
口角を上げて、歯を見せればより笑顔に見えるかな、と。

「もっと笑顔になれる?」
というリクエストに対して、大きな笑顔、という結果を演じてしまってませんか?

そんな時、こう言われてしまうのです。

おおげさな演技だ
オーバーリアクションだ
あるいは、わざとらしいと。

結果を演じてしまうことが原因で、型にハマった(紋切り型)演技、またはそれに近い演技になってしまうのです。

生徒さん

型にはまらないって、じゃどうやったらいいですか?

アリトさん

結果を演じないために、
笑うまでの過程を調整できれば自然な演技に繋がります。

例えば、スチール写真での笑顔ってどうなる?

スチール写真、俳優のプロフィール撮影や、学校での卒業アルバムなどの顔写真など、みなさんは何度かカメラマンに自分を撮影してもらう機会がこれまであったのではないでしょうか。

そして、「もっと笑顔で〜」なんて言われてことありませんか?
そこで笑おうとすればするほど、なんかぎこちなくなって上手くいかない、なんてことはありませんでしたか?

笑おう、笑わないと、と思えば思うほど、理性が働きブレーキがかかるのです。

プロのカメラマンであれば、そのぎこちなさを見て自ら調整しようとすると思います。
あるいは上手に褒めて笑顔を生み出します。

「あ、いいですね〜可愛い!ちょっと振り返ってみて〜」

とか言いながら、
それで少しほっこりしてふわっとした笑顔でシャッターがパシャ!

結婚式の集合写真なども上手なカメラマンは自然と笑うよう導いてくれますよね。
「笑って」ではプロ失格…一流の写真家が「自然な笑顔」を引き出すために編み出した”コーヒー作戦”とは

カメラマンがそうするのは、
結果の笑顔を求めて、形で作った笑顔が素敵ではないとわかっているからです。

カメラはそれを見抜いてしまう。
それで自然な笑顔が出てくるように、さまざまな言葉を投げかけるのです。

グラビアだって、写真集だって、モデルをおだてて褒めて、どんどん輝かせて撮影しているのです。

それは、笑顔になっていく動線を知っていて、結果まで導いているからです。

監督や演出家がプロのスチールカメラマンのようにできれば良いのですが、他にも注意を向けるものが多く、なかなかそういうわけにはいかないのが現状かもしれません。

だから、まずはあなたが自分で調整するのです!

リザルト演出、リザルト演技とは?

スチールカメラマンのお話をしましたが、映画やドラマ、舞台などは、ほんとどの場合そこまでやってくれません。

「もっと笑ってしゃべって」「号泣して欲しい」「ちょっと怒ってから睨んで」など
感情を伴ったことを、そもままリクエストされます。

結果をリクエストされるのです。
そういうのを「リザルト演出」といいます。

また、結果を求められて結果を演じてしまう演技を「リザルト演技」といいます。
つまり、結果を先に演じてしまうんです。

RESULT :結果

演技の導き方を心得た監督や演出家は、リザルト演技が嘘っぽいことを知っています。
だからこそ、それを回避するため、リザルト演出を避けてうまく俳優から演技を導き出すことができるのです。

特に稽古時間がしっかりある舞台は、その辺を時間をかけてできる場合もありますが、映像は時間がありません。

映像でも舞台でも、相手から引き出すポイントを上手に指摘して演出できる人は・・・少ないかもしれません。

事前の準備が当日の俳優の演技力を生み出す

ドラマ撮影、低予算での映画はとにかく時間がありません。
撮影時間を短くできればしたい、むしろその短い時間で対応できた俳優が良いとしてしまう習慣がずっとあります。

作品のために監督と俳優がフェアでいられる時間は基本的にありません。
あって然るべきですが、ないのが現状です。

それを一旦受け入れ、ぜひトライしましょう。
役が生きるために、自分でやるのです。

「もっと笑って」をリザルト演技にしないために、
そのシーンで笑う動機は何なのか、
どんな行動の結果笑ってしまうのだろうか、
それらを役の目的から知っておくことが重要です。

つまり、撮影の前に、事前にそのシーンで役の目的を準備しておくことが重要なのです。

この準備がないと、焦ってしまい、急いで要求に応えようと、頑張ってリザルト演技で対応してしまうのです。
すぐに結果を演じて、どういうわけかそれで「まぁOK」と終わってしまうのです。

もちろん監督や演出家の中には、リザルト演出をして、リザルト演技を求める人も当然います。
その場合は、そう見えていればOKといった視点で判断している監督や演出もいるからです。

そう見えるとしても中身や動機や目的までしっかりと充実させて俳優は応えていきましょう!
そうすればもっともっと作品に貢献ができるはずです。

役の事前準備とは

役がどのような状況でそこに居るか、あなたが実感レベルでいられることから始めたいところ。

アリトさん

 Bの試着室から出てくる
 A、ドレス姿を見て笑顔になる

B「何その顔〜」

 B、試着室のカーテンを閉じる

それまでの状況が不明ですので、その前の状況については想像は自由ですね。

たとえば、2人の結婚式の衣装替えのドレスを試着しに行ったとしたらどうでしょう。
試着室から出てきたBを見て、Aが言った台詞と設定します。
新婚ほやほやの2人に何の障害もなさそうですが笑

意外とあるんです。

Aの場合
目的:Bに素敵だと思わせる
動機:意にそぐわないと、いつも機嫌がすぐ悪くなるから。
障害:Bはいつも自分に自信がない、値段が高いなど。
行動:感動を伝える

Aのあなたも、きっとスーツなどの衣装を着るだけでもちょっと衣装部屋にいる高揚感が得られそうですね。
そのようなアプローチから自分が感じられる準備をしていると肌感覚で準備が可能です。

なぜなら、スーツの自分の立ち居振る舞いからきっと、大切な場所と体から認識するからです。

さて、上記の準備が自宅でまずできるもの。
その後、現場でこの実際に上記の目的でトライしたところ・・・

監督

もっと笑顔になれる?

と監督からリクエストが来たとしたら?
目的を調整してみましょう

アリトさん

たとえば、目的:Bを笑顔にさせる
そんなつもりで相手を見たらどうでしょうか?

あるいは、動機を調整してみましょう
たとえば、動機:褒めないとすぐ結婚を破棄されるぐらい怒るから。
あるいは、先日、大きな喧嘩をしたばかりでまだ根にもたられているとしたら?

など。

この動機だと、少しぎこちなくなる可能性がありますが、それが初々しい関係として生きるかもしれませんね。
このように、目的や動機から調整していければ、結果を演じることなく、行動をしますので自然な人間の動線から演じることができるのです。

失敗は原因から調整しないと解決しません。
なのにうわべだけで何とかしようとしてしまうのです。
なぜなら、この演技のベースを使用していないから。

まとめ

おおげさな演技、オーバーリアクションの原因は、中身が伴っていないことにあります。

今、その瞬間を受け取った感情ではないから、お客様や観客にそう感じさせてしまうのです。
その瞬間、その今という瞬間から反応した場合、基本的にオーバーになることはありません。

イメージで演技をする人もまた、同様にリザルト演技です。
イメージした絵という結果を演じているのですから。

そこにはリアリズムは存在しません。
もうお分かりですよね、100%コントロールした段取りになってしまうのです。
そこには感情という無意識や潜在意識にタッチする余白が残っていないロボットのようなものが存在してしまいます。

自然に瞬間瞬間を生きることと、結果を演じてることは真逆のアクションなのです。

リザルト演出は、これはもう監督や演出家は俳優にリクエストすることが仕事ですので、変えることはできません。
しかし、あなはのリザルト演技は自分で変えることができるのです。

目的や、動機から、演技の幅は調整が可能なのです。
実は、こういった行動すること(Acting)が明確になることで、余分なものがない演技になり、自然なものになっていくのです。

そこにあなたや役の個性が、出てきたモノによって役の幅は広がっていくでしょう。
(役作りはまたさらに必要な要素を見つけていく必要があります)

小さな役から大きな役まで、このベースで準備していくと、生きた演技となっていきます。
今回は、短い脚本から説明しました。
ぜひ、自分でも試してみてください。

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