その発声練習大丈夫?知られざる俳優の発声練習の問題!?

その発声練習大丈夫?知られざる俳優の発声練習の問題!?

こんにちは、演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、久しぶりに俳優業を再開する方などに役立ててもらえたらと考えています。

私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」

今回は俳優の発声方法についてお話をします。
俳優の発声方法については、どこで誰にどのように学んだかによって変わってくると思いますが
養成所や劇団などでは「腹式呼吸を練習する」の一択で突き進んでいるところがあるのではないでしょうか?

私も20数年前に上京し、いくつかの養成所のレッスンを検討材料として見てきましたが、その実態は10件中7件はそのようなレッスンをしていました。
また、大学生時代に入った養成所でも同様でした。

これって変だな?って思っていても口に出せないままこの腹式呼吸レッスンはあちらこちらに蔓延っています。養成所やスクールでは、発声というキーワードで何かをやらせないといけないと思い込んでいて、とりあえず腹式呼吸の発声と早口言葉をしてもらうといった意向があるような気がします。

しかし、喉を締めるような発声方法を学んだ既存の俳優たちが、いざ自然な演技をしようとして苦労しているのを散見しています。演技トレーナーとしては、誰がどうしてこんなことを指導したのか!と心苦しくなると同時に、型にはまったその発声方法の癖から解放してあげたいという気持ちになります。

そこで、今回はあまりよろしくない発声方法や練習と、正しい発声方法を説明いたします。ぜひ学んで舞台や映像に生かしてもらえたらと思っています。

間違った腹式呼吸のやり方とは?

発声のレッスンで最初に行うのは、こんな感じのレッスンではないでしょうか?

  1. お腹を膨らませてお腹にたくさん空気を入れる
  2. お腹を膨らませてお腹に力を入れて息を吐く
  3. 息を吐きながら、腹筋に力を入れてお腹を凹ませる
  4. 息を吐く時に早口言葉や「アメンボ赤いなアイウエオ」を言う
  5. 息を吐く時にスタッカートをつけて「はっ!」「はっ!」「はっ!」と言う

どうでしょうか?
教えてもらった腹式呼吸の方法はありましたか?
いくつ当てはまりましたか?

腹式呼吸の練習の何が悪いのか?

上記5つの方法を試してやっていった場合の体の変化を受け取ってみましょう。

  1. 空気をいっぱい吸ってお腹が苦しくないですか?
  2. 吐く時に腹筋にぎゅっと力を入れていないですか、そう指導を受けましたか?
  3. 肩や首に力が入っていないですか?
  4. 喉に力が入りませんか?

上記の内容に1つでも当てはまれば、あなたの腹式呼吸は成功していません。
80年代、90年代と続いた演劇ブームの影響でしょうか。
独自の体育会系発声方法を実践し、演劇界で売れた劇団の影響もあるかもしれません。以前その方の本を読んで驚きましたが、人体と逆のアクションだと感じました。
ファンが多く、同じように演技したい人が集まり、結局その指導内容は拡散されていくのかもしれません。

腹式呼吸は既にできている

腹式呼吸は寝ている時に自然に起きている呼吸です。

さて、その時に我々の体は力んでいるでしょうか?
それともリラックスしているのでしょうか?

このことを考えただけでも、先に述べた練習方法の悪しき習慣が見えてくるのではないでしょうか?
必要なのは不要な力が除かれた発声です。
私は何度も公言していますが、大事なのはリラックスです。
ぜひ、参考にしてください。

腹筋を鍛えることは発声に役立っているのか?

お腹を膨らます、お腹に意識を向けると、腹筋を締めていくことになり、喉も同時にしまってしまうことはありませんか?

そりゃ、「ふん!」と踏ん張ると喉に力が入って、声を絞ってしまいますよね。
ポンプ式のように声を出すイメージと人間の体はやや違っています。
体のイメージを伝える上でポンプのお話をすることはありますが、発声の練習の場合の動く場所を確認するのであれば、厳密な体の部位を指定し理解してもらっています。

動かすのはあくまで横隔膜の上下運動、鍛えるべきなのは横隔膜に関わる筋肉です。
それは6パックのための腹筋ではなく中の筋肉、つまりインナーマッスルの部分になります。

早口言葉は有効なのか?

発声と合わせて、早口言葉をセットで使用したりします。
滑舌の練習で有名ですよね。

アナウンサーなどもこれらをスラスラと言えるように、口の形を確認しながら頑張っています。
ですが、スラスラ言えることを美徳としていますが、それは「早口言葉を言う」アピールの芸のひとつに過ぎません。

早口言葉の達人を目指しているのであればOKでしょう。

早口言葉が有効なのは、ゆっくりと口の形を確認しながら口のマッサージをしていくこと。
だと思います。
早く喋ろうとするから、噛むのです。
噛んで笑い合った時間の方がリラックスして有効なくらいのことです。
また、早口言葉の効用についてはこちらの面白い記事がありましたのでご参考ください。

俳優のための早口言葉の正しい活用方法

  1. 口のマッサージ
  2. 口の形の確認
  3. セリフの代わりに使用する(ジブリッシュよりも明確です)
  4. 失敗したら楽しいのでリラックスし合える

私が重視しているのは、むしろ③や④です。

滑舌の悪さの原因TOP3

滑舌の悪さの原因の多くは下記TOP3に集約されます。

  1. 物理的な口の形、口内の広さ
  2. 精神的な原因による緊張
  3. 顎や口まわりの緊張

私のレッスンでは、さぁ滑舌しますよ〜と言って滑舌の練習はしません。
心の変化が自然に乗っていく音色が必要なのですから、余分な力を抜いていくことが第一優先です。

また長時間の舞台公演などに耐えうる発声にするために、喉を緩めた声の出し方が必要です。
感情が伴うと自然に喉を締めてブレーキをかけてしまうのが人間の正常な反応。

そこをほぐすためにリラクゼーショントレーニングと声を出すことを連動させていくことで、結果的に発声のトレーニングとなります。(そのやり方はこちらをご確認ください

②の精神的な原因による緊張は、自身のコンプレックスや失敗経験、自分のことを伝えることで受けた精神的なトラウマなどが声をどもらせたり、発音を妨げたりします。それを隠すために、無理な発声方法をしてしまうため、まずは現状を受け入れ、一歩ずつ解決していくことが大事になります。

まとめ

声楽家のような声を出すのであれば、声楽家の方の発声トレーニングが必要です。
しかしながら、全身が響き渡るあの素晴らしい声は、また別のトレーニングです。
以前私は、オペラの演出をしましたが、声楽家の方々のその発声に私は脱帽しましたし、身体の楽器の力を感じました。

声楽家の方の発声はまた別物です。
ストレート芝居や舞台上での必要な発声とは異なっています。
歌に特化した発声ではなく、感情が伴うセリフに特化した発声方法こそが俳優に必要な発生方法なのです。セリフの機微に反応できる柔らかな発声がこそが。
舞台が大袈裟だというイメージは、そのおかしな発声方法にあります。
心の動きの機微を抹消するかのような声の出し方は、自然な演技やリアリティのある演技を求めた場合にマイナスにしかなりません。

本当の感情が乗った時、金切り声になりやすいのです。
それは喉を痛めてしまいやすいですよね。

人は感じたことをすぐに表現したいと、声に出す衝動が赤ちゃんの頃からありますが、それを抑えて抑えて抑えて成長していくのです。

その感情を抑える役割が喉を締める作用なのです。
その習慣を解いていきながら、声を出していくトレーニングこそが発声のトレーニングです。
その発声の発音に邪魔にならないようにするため、口の形などは口のマッサージなどで確認しておくべきことなのです。
参考になりましたでしょうか?

まずはぜひ、リラックスと声を出すことを繋げてトレーニングしましょう。
※歌う方のヴォイストレーニングとはまた違いますのであしからず。

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