こんにちは、アクティングコーチ・演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、養成所や俳優学校を卒業してもなかなか実践に生かせない方を対象に、私の記事を役立ててもらえたらと考えています。
私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」
さて、役のアプローチについて。
役のアプローチは、正直無数に存在していて、これで間違いないといったことはないかもしれません。
しかし、役のベースは脚本に書かれており、これをすっかりと抽出する必要があります。
この基本を置いて、一読だけで何か色々な要素を取り入れようとしても意味がありません。
また面白くしようとして、その役に不要な要素を重ねても意味がないのです。
役作りで必要なのは脚本分析です。
その脚本分析を終えて、役の分析へと繋がります。
主観ではなく、脚本から拾い上げる力が必須条件。
そして、役の目的や障害、動機と行動が見えてきたら、それをあなたが体験してその瞬間瞬間に生きればもはや役を生きていけます。
しかし、その役をさらに人間味溢れるもの、そして俳優芸術の創造性を高めていくためのアプローチが存在しています。
そのアプローチ方法を活かして役を創造すればするほど素晴らしい演技が引き出されていきます。
ここでは脚本分析を経た後のこと。
つまり、基本の役作りへ、役への理解へと進みんでいくアプローチをご紹介します。
結論から言いますと、役と親友になりましょう!
役の行動がその役を知るチャンス

脚本分析をした際に、気をつけてもらいたいのは、ジャッジ(善悪の判断)をしないということです。
たとえ犯罪者としても、浮気者としても、殺人者としても、その人が「悪い人だ」といったレッテルやジャッジをしないこと。
万引き者は、「万引きをしたことがある人」。
浮気者は、「不倫をしたことがある人」「パートナー以外と関係を持ったことがある人」。
殺人者は、「人を殺したことがある人」であり、人を殺す人ではないという認識です。
レッテルを貼ったり、ジャッジをせずに脚本を分析して、その「行動」からどんな人の可能性があるのかを判断してください。
人間心理は非常に繊細で不思議です。
台詞は正直ではありません。
行動が人を知るチャンスです。
悪役は悪だと思っていない、むしろ自分の正義を貫いてる?

悪役、どんなイメージでしょうか?
ヒーローや主役と敵対する相手、もしくは準主役。悪いことを働いて、最後は負けてしまう、そんなイメージではないでしょうか?
この「悪役」といったレッテル貼りも、監督や演出家が役割として「悪役」という言葉を使うかもしれません。
しかし、悪役と呼ばれる役は、自分の行動や行いが悪い行動だと思っていないかもしれません。
むしろ、自分の行動は自分の中では正義と思っていることすら多いにあります。
今でこそ戦争犯罪人でも、その時は正義と思って人を抑圧したり殺めたり、女性への態度も含め、当時は悪いことだとは思っていないかもしれないのです。
海外映画のアメコミヒーローに対峙する悪役たちがことさら人間らしく多くの人の琴線に触れるのは、まさに人間と捉え直し、人間理解から生まれた分析の結果といっても過言ではありません。
映画「ジョーカー」やクリストファー・ノーラン版の映画「バットマン ダークナイト」シリーズの悪役たちの心のあり方からもよく分かります。
その役から見た価値観の色メガネをかけて世界を見る

役を理解するうえで、その役をあなたの知識や色メガネでジャッジしないことを説明しました。
その倫理や正義感、道徳感は、あなたがこれまでの人生で蓄えてきた色メガネだと思ってください。
さぁ、役作りとなると、その色メガネを外し、役の色メガネをかけて世界を見るのです。
これが役づくりのアプローチとなります。
あなたが、朝ごはんがパン派だとしても、役はシリアル派からも知れませんし、朝ごはんを食べないのかもしれません。
脚本に記載している事実や、行動から把握できる範囲で、その役の行動をみていきましょう。
そして、その役がどんな価値観でどんな道徳感でどんな倫理観で何を大事にしているのか、その色メガネをつけて世界をみてみましょう。
役を生きる、役に近づく、そして役と親友になる

役の色メガネをつけたら、相手のことが理解できなくても、そう見えている世界から、あなたとの共通点を探す作業の始まりです。
どんなに自分とは真逆の役でも、どんなに嫌いなタイプと思える役でも、あなたとの共通点は必ずどこかにあるのです。
それが人間理解の旅であり、役と共に生きる大事な要素なのです。
役を理解し、役と親友、または恋人になるくらいのつもりで接していきたいところ。
あなたは親友であれば、きっと心の痛みも、相手の立場になって考えたり、心を痛めたりすることができるのではないでしょうか。
役を生きる、のはあなた。
しかし、まずは役を親友になるつもりで、共通点を探し、膨らませていきましょう。
役が汚い言葉を使うが、あなたとは全然違うとして、役が「クソ〇〇」「くそったれ」といった口癖のようなものあれば、あなたにとっての普段の口癖を探してみることをしましょう。
共通点:口癖、ですね。
たとえば普段あなたが「〇〇だよね」「〇〇じゃん」なんてことを語尾につけていたとします。
すると、こう捉え直すことができるかもしれません。
あなたにとっての「〇〇だよね」「〇〇じゃん」が、役にとっての「クソ〇〇」「くそったれ」と同じことくらい自然に使用しているのかも、といった共通点です。
あなたが、「〇〇だよね」「〇〇じゃん」ってどうして使うようになったのでしょうか、物心ついた頃からであれば方言として親や兄弟、地域からの可能性もあります。
それと同いくらいの状況とすれば、物心つく頃から「クソ〇〇」「くそったれ」といった言葉遣いをしていた家庭や環境にいた可能性があるということです。
さて、それはどんな環境が考えられるのか、脚本の事実から引っ張ってきて想像し創造していくのです。
役の行動から共通点を見つける

役が異性に初めて暴力(ビンタとしてみましょう)をしたのであれば、その人はビンタをする人、暴力的な人ではなく、ビンタをしてしまった人と言えるのです。
また、その直後、「はっと我にかえる」などのト書きの記載があるればまた想像は膨らみますね。
あなたの色メガネでは、ビンタは倫理的に反していて、あなたは絶対に暴力はいけないと思っていたとしても、役がどうしてそのような行動をしたのか理解していく必要があります。
たとえあなたが生涯一度もビンタをしない、暴力をしないと誓っていても、この先してしまう可能性すらあることも否定できません。
自分がいかなる時なら、咄嗟に手が出てしまう可能性があるのか。
余程のことがなければない!
とあなたが断言したとして、では、その余程のことを想像してみましょう、ということなのです。
もしかしたらそれは、生死に関わることかもしれません。
もしかしたら、想像するだけで鼓動が早くなり、顔が赤くなり、血がのぼることもあるかもしれません。
もしそうだとしたら、役にとってのその咄嗟のビンタは、あなたにとっての「想像するだけで鼓動が早くなり、顔が赤くなり、血がのぼる」ような出来事だったのです。
あなたにとって、それは何でしょうか?
価値観は様々。
役にとってのそれは、あなたのそれと同じくらいのこと、といった認識に置き換え、共通点を見出していくと役への理解が進んでいきます。
役の色メガネをつけて世界を見て、あなたの色メガネとの差を知り、埋めていくことで役に近づいていけるのです。
言ってみればそんな作業が役作りと言えるでしょう。
また、自分がそもそも持つ色メガネを知っていなければ、その色メガネを外して、役のメガネを着けたところで、差異も分からないということです。
日常から自分を知ることが大切を訴えてきたお話と繋がってきますね。
こちらの、「演技の練習って普段何をすればいいの?まずは自分を知る旅に出よう!」の記事もご参考ください。
まとめ

今回は役のアプローチについて、シンプルにお伝えしてみました。
脚本分析が何よりも重要で、ここの明確な取り組み方は少しずつまた小分けにしてでもお伝えできたらと思っています。
意外にも学校では詳しく教えてくれないことだったりします。
役の気持ちは考えるのではなく、不明瞭なまま想像するのではなく、明確な事実と役の行動から役を見ていければ役の分析に繋がります。
そして、役の人生の目的を見つけ、シーンの目的や、障害、動機などを見つけていきます。
このやり方についてはこちらの記事をご参考ください。
今回は役のアプローチにおいて、役と親友になるための方法をお伝えしましたが、
その他、役を知る上で、イマジナリーセンターの発見やPG(サイコロジカル・ジェスチャ)などマイケル・チェーホフが発見し組み立てた方法もあります。
その他、アニマルエクササイズといって、動物からヒントを得るそんなアプローチもあります。
或いは特徴のある人からヒントを得る方法なんてもあります。
それらはまた後術しますね。
それもこれも、脚本の分析を経て、役の分析を経て、そこから先のお話なんです。
人間理解の探究をしながら、ベースのアプローチを経て、いろいろな事を役に還元していけるようになれば、あなたは俳優アートの素晴らしいアーティストになるでしょう。
私はそんな出会いをいつも楽しみにしています。
また、ちょっとしたヒントからどんどん変化する俳優アートを目の当たりにして心を躍らせています。
そのためにも、こちらのブログの記事をどんどん積み重ねていきますね。
目的や障害、動機に基づいて演技(Acting)することはこちらの「監督や演出家の指示に俳優が対処するための考え方」記事をご参考ください。





























