こんにちは、アクティングコーチ・演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、養成所や俳優学校を卒業してもなかなか実践に生かせない方を対象に、私の記事を役立ててもらえたらと考えています。
私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」
さて、今回は台詞(セリフ)の覚え方についての第二弾。
第一弾は、私のブログ記事でもかなり読まれている内容になります。
まだ読んでない方は、ぜひこちらの「学校じゃ教えてくれない、台詞の覚え方5ステップ!」をご参照ください。
台詞の覚え方といっても、超暗記術のようなイメージや魔法のような暗記方法を想像している方、はっきり言っておきます。
残念でした。
超暗記術のように覚えたところで、口と頭脳が繋がっていないとそれを音として出していくことはできません。
受験勉強で歴史など書きながら頭に詰め込んで覚えた人はきっと、口頭で質問された場合、声に出すことは難しかったのではないでしょうか?
もしも、声に出して答えれられた人は、書きながらも声に出しながら覚えた人です。
頭で覚えることと、発音にしていくことは別のことなのです。
あなたが俳優ならば、裏技や魔法の記憶術での暗記に期待しないでください。
断言しておきます。
声に出して覚えるのです!
まさにこれ一択といっても過言ではありません。
俳優の台詞の覚え方、左脳ではない!

頭で覚えるというよりも、口で覚える!
知識として覚えた台詞は、知識として脳内に入るだけのこと。
知識として頭に入れた台詞は、声に出せるものではありません。
いざ声にしようとしても、とても口がまわるものではありません。
抑揚をつけずに、サラサラと言えるように覚えることを「学校じゃ教えてくれない、台詞の覚え方5ステップ!」で説明してきました。
ぶつぶつと念仏のようにサラサラっと言いながら覚える習慣を身につけていきたいところ。
頭でなく体で覚える。
左脳ではなく右脳的要素で覚える、といった感覚ですね。
台詞をサラサラと覚える理由

抑揚をつけないで声に出しながら覚えることをオススメしてきました。
色で言うと白色で覚えると。
抑揚をつけて覚えてしまうと、その抑揚でしか声に出して言えなくなってしまうのです。
言い方で、イントネーションで、台詞を覚えると失敗します。
相手役や他の役などからどんなボールが飛んでくるか分からないからです。
相手役の目的や行動で、あなたの目的の中で受け取るものは全然変わってくるからです。
抑揚をつけて覚えるということは、どんなニュアンスで言葉が投げかけられてくるか分からないのに、無理やりあるニュアンスで受け取ろうとすることです。
野球で例えるなら、ピッチャーがどんな球を投げても、キャッチャーがミットの位置をかえずにいる状態。
抑揚をつけて覚えた人がキャッチャーという意味ですね。
例えば次の会話で考えてみましょう。
あなたがBだった場合、Aが嫌悪感を最大限に持って言ってきたらどうでしょうか?
Bのあなたは、胸を痛めながら「そんなこと言わないでよ」と答えるかもしれません。
Aがあなたに恋をしていて「あなたのことが大っ嫌い」と言ってきたらどうでしょうか?
Bのあなたは、照れながら「そんなこと言わないでよ」と答えるかもしれません。
しかもどれもこれもその日の俳優の体調によって微妙に左右されるのが演技。
あなたは、その機微に自然に反応できるほどの準備ができていれば最高だと思いませんか?
どんな色にでも染まれるよう、色で言うと白色で覚えるというのはそういう意図なのです。
台詞は意図を考えながら覚えない

台詞の内容を深く考えながら覚えないようにしましょう。
色々とごちゃまぜに考えて覚えても混乱するだけ。
脚本分析は台詞を覚えてしまってからか、あるいは別途覚える時間とは別にして考えてみましょう。
脚本の意図を考えながら覚えてしまうと、知らず知らずに抑揚をつけて覚えてしまいます。
本人にはその自覚がなくとも、意図に擦り寄った抑揚で固定されてしまう可能性があるのです。
できれば避けたいですよね。
私たちが求めているのは、
サラサラと言えるようになった時に、役の目的に向かって行動することで、障害にぶち当たったりながら相手役の反応次第で、あなたの台詞の音色は自然に変化していくということ。
言ってしまえば、
サラサラと言えるように覚えるといこと=考えなないようにするために覚える
といった意図になります。
レペテションのように台詞のやり取りをする練習も有効

あなたがレペテションのトレーニングを経てきており、相手との関わり方を俳優として実感できているのであれば、レペテションのように相手と台詞を言い合うことで感応のトレーニングが深まります。
どういう意味かと言いますと、相手の反応を瞬時に受けながら、瞬間瞬間繋がった際に沸き起こる感情が自然に台詞に乗っていくためのトレーニングとなるからです。
最初は無機質に台詞でサラサラと交互にやっているだけだったとしても、だんだんと関わっていったり、深く踏み込んでいったりすると、有機的な反応が起こりやすくなります。
もちろん、そんな練習は相手の理解あってのこと。
舞台などの長時間稽古できる環境であればぜひ試してみてください。
また、通常のレペテションをしながら、途中から台詞でレペテションに切り替えていくのも良いです。
相手への集中とリラックスが生まれ、自然な感応により、自然な音色で台詞が出てくる可能性をあげてくれます。
補足:台詞を覚える練習の題材

台詞を覚えるトレーニングとして、予行練習として有効な方法をお伝えします。
売れっ子でないかぎり継続的に役をもらえたり、常に相手がいる役とは限りません。
そんな中、台詞を覚える機会そのものが少ない可能性すらあります。
その場合は、台詞を覚えてサラサラと言えるようにする練習として、詩集から1ページ程度のものをピックアップして声に出しながら覚える練習をしてみましょう。
詩をモノローグとして覚えるようなものですね。
複雑なもの、難しい言い回しを避けたいのであれば、谷川俊太郎さんの詩や茨木のり子さんの詩集からピックアップすることをオススメします。
※谷川俊太郎さんとのツーショット(詩のファンでもありますので)
私は個人的にもこのお二人の詩が大好きなため、覚えて声に出していく練習にたくさんの詩を使用しました。
結果的に、多くの詩を覚えて、いろいろなところで披露する機会に繋がったりしたほどです。

余談ですが、私は登山が大好きです。
ひとりで登ることもあるくらい、趣味として登山を楽しんでいました。
ある時、クマに遭遇しそうな場所で、鈴の音と詩の朗読で声を出しながら歩いて、事なきを得ました。
疲れと段差のある登山は、歌いながらというのは息を苦しくしてしまいます。
そこで、感じたままに声に出していける朗読やモノローグが効いたという例です笑
まとめ

いかがでしたでしょうか?
台詞を覚えることに近道はない、ということが見えてきましたでしょうか?
しかし、自然な演技にしていくための「覚え方」というのが存在しているということ。
アスリートがトレーニングなしで才能や技量を発揮できないように、俳優もトレーニングなしでその才能や技量を発揮できることはありません。
詩を覚えることをオススメしましたが、俳優がひとりでもできる演技トレーニングのひとつですね。
サラサラと言えるようなったら、料理しながら、もしくはパズルをしながら、お手玉をしながら、リフティングをしながらなど色々と集中して何かしながらトライしてみてください。
ある意味、インディペンデント・アクティビティです。
リラクゼーショントレーニングやワイド・ブロード・ムーブメントでオープンナップができた状態で、何か行動しながら台詞を声に出していくとあなたの声に感じたものが自然に乗っていくようになるでしょう。
そうすれば、心から大好きな人に大好きという意味で「大っ嫌い」と伝えても、相手にあなたの好意がしっかりと伝わるはずです。
とは言え、日常では違う結果になる可能性もありますので、好きな人には好きと言いましょう〜笑
































A「あなたのことが大っ嫌い」
B「そんなこと言わないでよ」