スタート前の演技準備あなたはできてる?体験の演技でスタートから生きた演技にする方法

スタート前の演技準備あなたはできてる?体験の演技でスタートから生きた演技にする方法

こんにちは、アクティングコーチ・演技トレーナーの山縣です。
演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、養成所や俳優学校を卒業してもなかなか実践に生かせない方を対象に、私の記事を役立ててもらえたらと考えています。

私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」

さて、今回はシーンの直前の準備の話。
演技の準備といえば、シーンに入る前に脚本分析、そして役作りとたくさん準備がありますが、今回はその準備があったうえでのシーンが始まる直前の準備の話です。

ですので、脚本分析、役の分析などは準備完了が前提です。
また、オーディションでシーンをする際の直前の準備についてにも当てはまります。

当たり前でいて、当たり前のように忘れられているのが
そのシーンの直前に何が起きていたのか!?
ということ。

結論からいいますと、それを体験してからシーンに入るということです。
その具体例をお教えします。

演技の準備、シーンが始まる直前、あなたは何してる?

私がこういった記事を書くのは、レッスンにおいても、オーディションにおいても、シーンの直前の準備がなされていないことをよく感じるからです。

役はおろか、あなたがシーンが始まる前に体験したことを、体験していない状態で、スタートしてしまうからです。
※思い出してください、このブログで伝えているのは「体験の演技」です。

言い換えると、「よーいスタート」で0からスタートしている俳優、がたくさんいるということなのです。

そして、「では直前に何があったか?」と聞くと、「えっと・・・」と言葉を詰まらせてしまう。
あるいは、「私のイメージでは・・・」と語り始めます。

じゃ、そのイメージはあなたのどこから発せられているのでしょうか?

そうなんです、頭の中だけで終わっているのです。
何も考えていないわけではない人でも、イメージをしたり、思ったりはしているのです。
果たして、それだけで、あなたはシーンの直前のことを体験したことになるでしょうか?
あなたの心と体は本当だと信じてくれるでしょうか?

いいえ、信じてくれません。

体は素直に反映しています、あなたの嘘の姿を。

本番前の準備は見せず、スタートでスパッとできる姿

俳優に対して思っているイメージが、監督の「よーいスタート」がかかったら、急にさっと演技を始めるような姿、ではありませんか?
それがかっこいいし、それが正解だし、それが褒められるし、それが賞賛される・・・?
急に何かできるのがかっこいいと思ってる?

そんなふうに思っているのでないでしょうか?
クールな感じですよね?
まるで天才ですよね?

そのイメージを自分で変えてください。

直前を体験しないまま、始まった演技よりも、しっかりとあなたが感じたものが詰まった体から始められる方が良いということを。

名優ジャック・ニコルソンが映画「シャイニング」の撮影直前での準備動画もありました。メソッドアクターにして名優ですよね。
やっているんです。
ご参考ください。

演技の準備、シーンが始まる直前、あなたの呼吸は?

極端な例を出してみましょう。
とあるシーンで、あなたの役が走り込んで来て、ぜぇぜぇ息を切らしながら相手と話をする部分があったとします。

日本の民放ドラマでもよくありますが、その息切れが嘘くさいのです。
また最初は息切れをしていても、すぐ回復して話始めるのです。
あるいは、息切れしていても、台詞が綺麗さっぱり呼吸の影響をほとんど受けていないのです。

こうやって記載すると、変だよね〜って分かると思いますが、いざやるとそうなってしまうんです。

そう、息切れが実際の体験から出ていないということ。
これは粗探しではありません。

アクティングコーチとしては、頼むから「本気で役を生きてくれよ!」と叫びたくなるのです。
なぜなら、ほとんどの監督や演出家は、そこにリアリズムを求めているからです。

答えは簡単ですよね。
物理的に、実際にその場でいいからスタート前に走るのです。
シーンの直前の体験、それは目的に向かって全力で走ってしまえば自然な息切れが生まれます。
その状態で、体が体験した状態で、シーンが始まれば、あなたはシーンを直前で体験したうえで始められます。
そうすれば、自然な息切れと台詞の音色が生まれます。

参考として、シーンを繋いだ演技について

参考までに、ジェイク・ギレンホールの演技について。
素晴らしいアクターですが、例えば、AppleTVで「推定無罪」というドラマで主演していました。
とある事実を法律事務所の部屋で知って、怒りが沸騰する瞬間が訪れます。
次の瞬間はトイレに行って、その怒りを吐き出すシーンがありました。

法律事務所内の部屋で、相手から言われた時に瞬発的に来た爆発しそうな感情。
そして、別カットでは、法律事務所内のトイレでその怒りを吐き出す。
当然ながら、それぞれ別カットで、別々に撮影したものが繋がっているわけです。

これが、見事に繋がっているのは、トイレのシーンの前に、その直前に何があったかを追体験してからスタートしているのでシーンが繋がって見えるのです。

普通なら自然にみて繋がってるのを感じるのですが、このジェイク・ギレンホールの繋がりは、部屋で起きそうな沸点が、次の瞬間にトイレで爆発していて、見事な繋がりに「すごい」と感じたほどです。
だからこそ強い印象を残してくれました。

本番前の準備に俳優が遠慮している

現場を見て思うことは、俳優が邪魔にならないようにシーンの直前の準備を遠慮しているかのように見える時があるのです。
これら先輩の悪しき習慣をどうか、あなたが変えていってください。

俳優が声を出して準備することがスタッフの邪魔になるかどうかは、スタッフに確認すれば良いこと。(可能なかぎりトライしてみましょう)
「すみません、声出していいですか?準備のためんですけど」と。

それを言えない空気や現場を作ってるのであれば、その座組は、そういう座組として受け入れ、撮影現場から少し離れたり、楽屋でしっかりと直前の体験ができる準備をしてください。

俳優としてシーンのクオリティを上げるためのことなんです。
本来であれば大事にされるべき俳優の準備時間ですよね。

余談ですが、私の教えた生徒は、NHKの朝ドラでシーンの直前を体験すべくトライし、メインよりも生きた演技を見せてました。
またそのオーディションでも体験の演技に向かって役を獲得したそうです。

俳優準備を認識している現場とそうでない現場がある

撮影前に声を出して準備をしていると、奇妙な目で見てくる監督がありました。
誰とは言いませんが、そんなレベルなんです。
そんな認識の方もまだまだ多いのです。

「主演俳優や著名な俳優がするなら、まぁいいけど、ちょい役のあなたが?」といった認識かもしれませんね。

俳優準備を知らない人がまだまだ大多数といっても過言ではありません。
俳優と監督・スタッフとお互いに理解していきたいですよね、本当は。
日本の演技力のレベルを上げるには、きっと監督の認識も変化しなければならないと感じるところもあります。

あなたが少しずつ変えていけると思ってください。
監督やスタッフと対話があってこその世界なのですから。

想像してください。
Netflix「極悪女王」のドラマ現場で、俳優が準備しているのを数奇な目で見るスタッフがいたでしょうか?
いるわけがないですよね?
だったらあのような素晴らしい演技や対話は生まれません。

監督もインタビューで、俳優たちの準備の姿に心を打たれ、それをカメラに収めるだという気持ちになったと言っています。役作りの準備に2年程度要したとして、俳優が撮影直前に何もせずスタートしたとは思えない生き様が映っています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

シーンが始まる直前の準備。
大事過ぎて、にも関わらず、その体験する方法を誰も教えてくれないのです。

結論として、言いますと、身体を使って体験してから始めるのが良いのです。
頭で考えた内容は、身体への体験い及びません。
思考はあなたを裏切ります。
しかし、体は動かすことで、何かがあったんだと心に働きかけ本当のことだと認識するのです。

体を動かした直前準備は、あたかもそうだと体が脳に働きかけ、そう思わせてくれるのです。
例えば、こうすれば体から心に働きかけてくれます。

心臓が初恋でドキドキしたシーンだとすれば、それこそ心拍数を上げる運動を少しするだけ。
仕事終わりで駆けつけた大事な人との約束で待ち合わせたシーンなら、仕事終わりの体験を体にさせてからスタートに入るのです。

0っぽいとこから始まるから、ぎこちないし、シーンが繋がらない。
これを読んだあなたは、恥ずかしがらずに俳優として役が生きる選択をシーンの直前にしてください。

そうすれば、気にせず準備ができます。

そうすれば、監督は生きたあなたの演技を目撃するでしょう。

最後に

ここまで読み進めてくださり、ありがとうございます。

もし、記事を読み終えて「頭ではわかったけれど、自分の場合はどうなんだろう?」と少しでも感じていらしたら、一度私と話をしてみませんか。

演技の技術、表現の壁、あるいは日常のコミュニケーション。 一人で考え込むよりも、対話(セッション)を通じて今の感覚を言葉にしてみることで、驚くほど道が開けることがあります。

月に10名様という限られた枠ではありますが、あなたとお話しできるのを心から楽しみにしています。