嘘のない演技ってどんな演技?自分の中の真実感を養う3つの方法

嘘のない演技ってどんな演技?自分の中の真実感を養う3つの方法

こんにちは、アクティングコーチ・演技トレーナーの山縣です。
いつも「Acting Life net」のブログをご覧いただきありがとうございます。

演技のことは言葉だけで伝えることの難しさは重々理解しているところですが、少しでも演技初心者の方や、養成所や俳優学校を卒業してもなかなか実践に生かせない方を対象に、私の記事を役立ててもらえたらと考えています。

私のモットーとしては、ブレることはありません。
「日本の俳優のレベルを底上げする」
「演技ツールを一般の方に解放し人生に生かしてもらう」

さて、今回は「嘘のない演技ってどうしたらいいの?」ということについて考えてみたいと思います。

演技でいう、「嘘のない演技」ってどういう意味でしょうか?
物語そのものが虚構(嘘でできたもの)にも関わらず、本当の感情を求められるのが俳優。
そもそも、矛盾していますよね。

だから、そう見えたらOKと考えている監督や演出家にしてみたら、「嘘のない演技」なんてどうでもよいなんて考えてしまうこともあり得ます。

しかしその監督の前で通用したとしても、あなたの演技を見た視聴者はあなたの印象は残らないうえに、胸にささらないものになる可能性が高いでしょう。
実際に心が動いていない人を見ても、見る人の心は動かないのですから。

結局演技って嘘なんでしょ?

そう言われることもありますが、俳優の中に動く感情の推移、そうしたいと思って行動したものは「本物」であればあるほど素晴らしい演技になるのです。

演技をしている本人が、違和感を感じ「嘘」と感じた瞬間に世界は崩れ、地に足のつかないものになっていくのです。
またそうとも気がついていない俳優もいます。

では、どうすれば「嘘のない演技」ができるのか?

結論から伝えると、身体的に行動することで心は「本当」と感じてくれるのです。
目的に向かって役がするであろう行動をしていくことで、「あなたにとって嘘のない演技」が生まれるということ。

あなたにとって嘘のない演技」をするためには、心も身体的にも「自分にとって真実である」という感覚を養う必要があるのです。

自分の中に真実感を養う3つの方法とは?

真実の感覚を養う3つの方法

1:センソリー(五感の記憶)で鍛える
2:目的に向かって本気で行動し障害にぶつかってみること
3:相手と関わる行動をすること

どれもこれも、演技をするうえで重要な要素。
新しいことは何一つないと思います。

五感を鍛え、目的に向かって行動し障害にぶつかってみると自然に次の行動が生まれ、目的を達成しようと揺れ動きます。
そして次の行動に移っていくのですが、その間、ずっと相手と関わり続けていることで自分本位ではない自然な行動が生まれるのです。

行動は、目線ひとつ、結果として躊躇してしまうこと、ため息ひとつ、すべて自然に出てしまったもの。
出ちゃったものが、まさに「嘘のない演技」と言えるのです。

俳優は「真実の感覚」を磨くことが必要である

メソッドアクティングでは「真実の感覚(Sense of trueth)」という言い方をしますが、それは五感からそう感じられるように、五感を鍛えることで「真実の感覚」を養っていきます。

私はこれまでも、【センソリー(五感の記憶)】の演技トレーニングをご紹介してきました。
実はそれこそが、それが五感を鍛え「真実の感覚」を鍛える方法なのです。

わたしたちは、日常的にあまりに自分の五感に対して無頓着なのです。
なぜなら、無意識のことであり、当たり前だから。

マグカップの中の熱々の珈琲を飲む。
その時にマグカップを持つ指にどのくらいの比重・負荷がかかり、指で持ち上げるには手首にどのくらい力が入り、不安定なので薬指をぎゅっと添えることで安定させてから口元に運ぶ・・・。

などなどいちいち考えていないわけです。

しかし、演技となると途端にぎこちなくなっていくのが現実。

その無意識にやっていること=「分かってる」と思っていることは、無意識過ぎて、わたしたちは忘れてしまうのです。
しかし、演技をしていて、「あれ、嘘くさい私」というのはしっかりと感じられるから不思議。

それは、体が嘘だと知っているからです。
日常で染みついた自然な行動となっていないから、体は違和感をあなたに知らせます。

この五感がどのように反応しているのかを、ゆっくり着実に着目(自己観察)していくことで、身体と心の反応のつながりが見えてきます。

俳優が嘘をついてしまっていることに気がついていないことも

私が台本を使った演技レッスンをする際に感じることとして、次のことが挙げられます。

・行動する際に相手に関わっていない
・本来起こるであろう行動の流れが起きていない
・自分本位である

たとえば絵を描く、といった行動から考えてみましょう。

画用紙の前に、えんぴつを持ったあなたがいて、絵のモチーフとなるモデルが目の前にいます。
画用紙にモデルの全体像を描く時に、こんな流れが自然と起こり得るでしょう。

絵を描く際の流れの例

1:モデルの全体像を見る
2:鉛筆をモデルに向けて全体のサイズを確認する
3:画用紙をみて、その中に描くモデルのサイズを投影する
3:もう一度モデルの全体像を見る
4:サイズ感が間違いないか画用紙にモデルの全体を描くことを考える
5:鉛筆を持つ手を画用紙に向ける
6:モデルの頭の位置・角度を確認する
7:鉛筆で頭部の輪郭をさっと描く
8:モデルの全体のラインを見つける
9:頭部からモデル全体のラインをさっと描く
10:・・・省略
・・・
13:顔を簡単に描く

このモデルを描くという作業において、描き始めるまでも十分に確認していく作業があったりします。
なぜなら本気で描きたいからです。

ところが演技となると、「1」から急に「13:顔を細かく描く」となったりするのです。
本来起こるであろう「2〜12」の流れが起きない現象とでも言えばいいでしょうか?
(例ではありますが、いきなり顔の詳細を描く人もいるとは思いますが、それならば観察時間は長くなったり、いろいろと捉える時間が生まれるでしょう)

また、モデルを見てもないのに描き出す、そんなことも生まれます。
その場合、モデルは不要になってしまいますよね。
自分本位の演技になってしまうとは、こういった行動に繋がります。

これは例えですので、絵を描くことのシーンをクリアすることに言及しているわけではありません。
この例えが、キャッチボールでもいいわけです。

投げる時に体をひねる、ボールを持った右手を後ろに持っていく、左手で空気をかくように前に持っていく・・・などなど。

絵を描くでも、キャッチボールをするでも、そのためには体がどう動いて、道具をどう使って、というのは体が知っている(五感の記憶)のです。
その感覚にそぐわない演技をしていた場合に「嘘の演技」がうまれ、大きな違和感を視聴者に残してしまう結果になります。

嘘の演技が起きた場合の違和感を感じたい

私が言いたいことは、
「行動する際に、日常であれば無意識に辿っている道順を無視してしまう」
ということなのです。

パズルのピースがざくざく抜け落ちている状態に気が付かず俳優が演技をしている場合も多い。

本人の五感が違和感を感じないまま、演じてしまっては、そもそも監督や演出家が「こうしてほしい」とリクエストしたところで、その俳優は行動できません。

だからこそ、【センソリー(五感の記憶)】で、五感を意識化に一度おいて感じていく力が必要なんです。

どこかで嘘だとわかっている、それで良い

虚構の世界に生きるのが、俳優の仕事であります。

生徒さん

虚構を本当だと思うのって暗示ですか?
どうやったら信じられますか?

そんな風に質問されることもあります。
答えは簡単です。

アリトさん

思い込む必要はありません。
俳優はどこかで嘘だと分かっていて、でもその世界に生きるのです。
行動が真実であれば、あなたにとって本当になります。

虚構だからこそ、根底で安心して傷つき合ったり、喜び合えるのです。

ヒーローごっこで変身して戦って遊んでいた時、透明の敵と戦ったことがある人も多いのではないでしょうか。
そう本当はそこに敵がいないことも、自分が変身していないことも、どこかでちゃんと分かっています。
しかし、それは置いておいて、目の前の透明の敵と本気で平和のために戦うから傷を負ったり、必死に戦うのです。
体が必死で戦っていれば、心も本当だと錯覚しはじめるのです、その瞬間すべてが真実になっていくのが演技。

プリンセスごっこをして、あなたはドレスを着てないとしても、当然ドレスを着てる感覚をもって身のこなしをしてきたのではないでしょうか。
その所作があなたに真実だと感じさせてくれ、心が動くのです。

なのに王子様役が、プリンセスに対する「礼儀を知らない態度(不自然・世界に入っていない演技)」で接してきた場合、きっとあなは興醒め。
と同時にお客様も興醒めなのです。

真実の感覚を養わなければ、この「礼儀を知らない王子様」のような演技をしてしまうということ。

さらに悪いことには、「礼儀を知らない王子様」になってしまっていることに気が付かない俳優になってしまうこと。

ということは、演出家や監督のリクエストに対して、何がよくないのか分からない状態になってしまうのです。

「真実の感覚」は日常から育み、レッスンで育む

さて、わたしたちは「礼儀の知らない王子様」にならないために、どうしたら良いのか。
センソリーの演技トレーニングも必須ですが、目的に向かって行動する練習が必要なのです。

日常的に、能動的に人と関わって行動する人は少ないのではないでしょうか?
仕事だから仕方なく、であって、自分の目的を叶えるために必死で行動することはありますか?

あなたが本当に手に入れたいもののために行動する時、相手と関わった時、当然見るべき相手のしぐさや態度、持っているもの、自然に注意がいくものが生まれます。

また、障害にぶつかっても、相手と関わりながら、その障害を迂回したり、傷ついたりしながら、行動を取っていく練習を演技レッスンでやっていくこと。

演技は「生きる練習」なのですから。

日常できないことを、やってみて知らなかった自分の行動を発見していくのです。

他人の無意識の行動を観察することも、きっと重要ですね。

嘘のない演技ってどんな演技?自分の中の真実感を養う3つの方法-まとめ-

「嘘のない演技」について、書いていきました。
「本物の演技」って何?という問いと同じですね。

あなたが、思わずそうなっちゃった、出ちゃった感情、行動、が「本物の演技」と呼ばれるもの。

真実の感覚を養う3つの方法

1:センソリー(五感の記憶)で鍛える
2:目的に向かって本気で行動し障害にぶつかってみること
3:相手と関わる行動をすること

もちろんシーンを生きるには、逆算して、そうなりやすい心体の状態であること、前提の条件を体験していることが必須です。
そのうえで、行動がどうなるか、です。

演技は普段できないことができるのです。
ということは、やったことないことがたくさん出てくるのです。

もしかしたら、あなたは心から相手を突き放したことがないかもしれません。
心から好きな人に嫌われるような態度をとったことがないかもしれません。
心から殺意を感じたことがないかもしれません。

そういったことを、想像だけでは体験できません。
日常で行動をとることもできません。

だから、演技レッスンの場があり、稽古があり、リハーサルがあるのです。

演技レッスンで大いに失敗を繰り返し、あなたの行動を見つけてください。

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最後に

ここまで読み進めてくださり、ありがとうございます。

もし、記事を読み終えて「頭ではわかったけれど、自分の場合はどうなんだろう?」と少しでも感じていらしたら、一度私と話をしてみませんか。

演技の技術、表現の壁、あるいは日常のコミュニケーション。 一人で考え込むよりも、対話(セッション)を通じて今の感覚を言葉にしてみることで、驚くほど道が開けることがあります。

月に10名様という限られた枠ではありますが、あなたとお話しできるのを心から楽しみにしています。